1. 導入事例
2023.10.24

書類のデータ化から紙原本の保管・廃棄までを一貫して請け負う、倉庫会社の新サービス「電子倉庫」で「fiシリーズ」が活躍
紙の書類をスキャンして高品質なデータを生成、専用クラウドで管理・活用

株式会社富士ロジテックホールディングスの河野勝さんと日本レコードマネジメント株式会社の小山内文浩さん

株式会社富士ロジテックホールディングスの河野勝さん(左)と日本レコードマネジメント株式会社の小山内文浩さん。

倉庫と物流の有名企業、株式会社富士ロジテックホールディングス(東京都千代田区)では書類など紙情報のデータ化に対するニーズの高まりを受けて、書類をスキャンしてデータ化する新たなサービス(通称「電子倉庫」)を立ち上げました。「fiシリーズ」による高品質PDFの生成に加え、スキャン後の書類の倉庫保管、文書管理専門会社の協力によるデータ活用コンサルティングなど、従来のBPOにはない包括的なサービス内容が注目されます。同社の電子化センターを訪ね、詳しいお話をうかがいました。

株式会社富士ロジテックホールディングス

業種:物流

新サービスの概要:紙書類のスキャンによるデータ化、専用クラウドと文書管理システムによるデータ管理、高セキュリティ倉庫での書類保管、データ活用コンサルティング

1. 書類をスキャンしてデータ化し、紙とデータの双方を一元的に管理・活用する

株式会社富士ロジテックホールディングス 首都圏事業部 倉庫 所長の河野勝さんと、日本レコードマネジメント株式会社 RM事業本部 RMS事業部 マネージャの小山内文浩さんにうかがいます。このたび富士ロジテックホールディングス(以下、富士ロジテック)が手がけることになった書類のデータ化サービス、通称「電子倉庫」の概要と、立ち上げに至るまでの経緯をお聞かせください。

河野さんこれまで当社では、大企業を中心とするお客様から書類を箱単位でお預かりし、保管する事業を手がけてきました。これに加えて、世の中のデジタル化に対応し、新規のお客様も含めた電子情報管理のニーズに対応するため立ち上げたのが、紙の書類をスキャンしてデータ化し、万全のセキュリティのもとで管理すると同時に、お客様ご自身にデータを随時活用していただけるようにする「電子倉庫」です。

その最大の特長は「データと紙を一元管理できる」という点にあります。従来行ってきた書類の保管サービスでは、当社の定期便などでお客様から紙の書類をお預かりするところから始まり、倉庫のプロならではの厳重な保管、お客様が書類の閲覧を希望されるときの箱単位での配送、保管期限の切れた書類の溶解処理による完全な廃棄まで、書類のライフサイクルを一貫してお引き受けする外部オフィスの役割を果たしてきました。

電子倉庫は、その対象をデジタルデータにまで広げるものです。すなわち、お客様がデータ化を希望する書類を当社で引き取り、スキャンしてデータ化したあとは、そのデータをお客様が活用できる形で厳重に保管します。それと同時に、データ化した紙の原本も、倉庫でお預かりする、お客様にお返しする、あるいは完全に廃棄するというように、ご希望に応じて取り扱うことができます。なお、原本を当社でお預かりする場合は必要な箱だけを随時お届けすることも可能です。

このように、電子倉庫はお客様が求める紙のデータ化とともに、データと紙の双方について、情報の活用から処分までを一元的に管理するサービスです。その実現にあたっては、日本レコードマネジメント株式会社(以下、NRM)から、これまでの電子化の実績とシステム構築等の知見をベースとした、設計段階から整備・運用準備にいたる技術協力を得ています。倉庫のプロである当社がもともと持っている紙の保管技術と、NRMが有する文書管理・情報資産管理の技術をともに活用することで、現在広く求められているデータ管理のノウハウをお客様に提供していきます。

「電子倉庫」の概要について話す河野さん

株式会社富士ロジテックホールディングス 首都圏事業部 倉庫 所長の河野勝さん。

文書管理システムならではの仕組みについて話す小山内さん

日本レコードマネジメント株式会社 RM事業本部 RMS事業部 マネージャの小山内文浩さん。

電子倉庫の具体的なサービス内容を技術的な側面からお聞かせください。

河野さん紙の書類をスキャンしてデータ化する場合、これまではDVDなどのメディアに記録してお客様に納入する形が比較的多かったと思いますが、電子情報を十全に活用するためにはメディアに収めるよりもクラウドなどへの保管が有利です。そこで電子倉庫では、セミパブリックな位置づけの専用クラウドを立ち上げ、文書管理の情報システムを入れて完全なセキュリティのもとでデータを管理します。この専用クラウドは、最終的にお客様ご自身がいつでもデータにアクセスしてご活用いただけるよう、機能を適宜拡張して満足度を高めていく予定です。

小山内さんまた、電子倉庫では今まさに求められるサービスとして、電子帳簿保存法(電帳法)とインボイス制度への対応も行います。つまり税務署による監査にいつでも応じられるよう、PDF化するときにタイムスタンプを打ち、会計経理的な部分は個別のエリアで一般の情報とは少し違う形で管理して、税務署がそこを見れば監査のための情報を確認できるようにします。これは文書管理システムならではの仕組みです。

ですから、電帳法やインボイス制度への対応に悩むお客様から書類をお預かりし、スキャンからデータ管理までをパッケージ化したサービスを提供することも可能ですし、先のお話にあった通り、ご要望に応じて倉庫で書類原本を保管することもできます。

2. 品質が高く活用しやすいデータを提供するために「fiシリーズ」を選択

本日お話をうかがっているこの場所(機密書類を保管するため所在地非公開)は、電子倉庫事業のために富士ロジテックが新たに準備した「首都圏事業部 文書事務集中センター及び電子化センター」(以下、電子化センター)ですね。こちらでは富士ロジテックの専任スタッフがスキャン作業を行うのでしょうか。

河野さんNRMの協力によってスキャン技術を習得した3名のスタッフが今後、厳重なセキュリティ下に置かれたこのスペースで作業します。なお、現在当社で紙書類の保管を承っているお客様からのデータ化の受注のほか、新規のお客様も増えていく見込みですので、業務量に応じて作業スタッフを適宜増員しつつ、高い電子化品質を維持・向上させていく予定です。

電子化センターの様子
スタッフがスキャンする様子

高セキュリティ環境下にある電子化センター。「fi-7700」と「fi-7480」が2台ずつ置かれています。

電子化センターには業務用イメージスキャナー「fiシリーズ」から、A3フラットベッド付きスキャナー「fi-7700」とA3コンパクトスキャナー「fi-7480」を2台ずつ導入されています。フラットベッド付きも選択されたのは、多様な書類を取り扱うからでしょうか。

小山内さんたとえば100年以上前のものなど、情報資産管理の世界で「古文書」と呼ばれる書類や、割印方式の契約書などもスキャンすることになると予想しています。そうした書類はADFに通すことができず、また大判であることが多いため、原本を損傷させることがないよう、ていねいに扱いながらフラットベッドでスキャンする必要があります。

fi-7700の写真
フラッドベッドで読み取る様子

多彩な読み取りに1台で対応する「fi-7700」。カバーを開けたままA3サイズまでの原稿をスキャンできるフラットベッドスキャナー(写真)と、A3原稿をストレートパスで読み取るADFを備えています。

小山内さんもちろんADFで手早くスキャンできる一般的な書類も、ていねいにデータ化するという点では古文書と変わるところはありません。書類のデータ化に際し、NRMでは一貫して品質を最重要視してきました。ただデータ化すればよいということではなく、必ず結果を確認し、あとで活用するときに問題が発生しない品質のデータにしてお客様にお渡しするということです。たとえば、何ページにもわたってスキャンしたPDFを1ページずつ点検し、わずかなズレや、読み取り設定を調節することでより見やすい画像を生成できる箇所などがあれば、該当ページだけをスキャンし直して差し替えるといった作業を必ず行います。

fi-7480をデスクサイドに置いた様子
fi-7480でスキャンする様子

「fi-7480」はA3サイズ対応でありながらデスクサイドにも置けるコンパクトサイズを実現したスキャナーです。A4横原稿を80枚・160面/分の高速で読み取ります。

小山内さん「fiシリーズ」を選んだのもデータの品質を担保するためです。PFUの業務用イメージスキャナーは信頼性が高く、高品質なイメージデータの生成が可能です。NRMではこれまでにも相当数の「fiシリーズ」を導入して活用してきた実績と運用経験があり、富士ロジテックの電子倉庫事業の構築と今後のNRMとしての利用を行うにあたっても、「fiシリーズ」を選択することに迷いはありませんでした。

「PaperStream ClickScan」の画面
「PaperStream Capture」の画面

3ステップの簡単操作でスキャンを行える「PaperStream ClickScan」(写真)と、自動仕分けやバーコード認識など高度な機能を使用可能な「PaperStream Capture」(写真)。どちらもfiシリーズ標準添付のソフトウェアです。

3. 強固なセキュリティ下でデータと書類を保管、データ活用のコンサルティングも提供

電子倉庫サービスの特長と意義を、いわゆるBPOとの違いも含めて、より詳しくご説明ください。

河野さん 電子倉庫も紙書類のお預かりも、「お客様がお手元で大量の紙を保管するということ自体が非効率である」という事実に立脚し、その解決策を提供するものです。さらに今は土地代が上がって事業所の床面積を縮小せざるを得ないといった事情も重なり、「紙の処分」は多くのお客様にとって解決すべき急務となっています。

その点で、当社ならば日々の定期便に加えて大型車による書類の一括お引き取りも可能です。また、書類をお預かりする当社の倉庫は24時間の機械警備を行っており、多数のセンサーによって少しの異常でも察知して警備員が急行するほか、警察署や消防署への連絡も迅速です。また、機密書類をお預かりするエリアはセキュリティフェンスを完備しており、認証を受けないかぎり入ることができません。電子倉庫サービスのための電子化センターは、この機密書類エリアの中にあります。この強固なセキュリティは書類をお預かりする場合の最大のポイントといえます。

このように紙の書類を物理的に動かして安全に保管できるという点で、NRMと当社のサービスは一般的なBPOとは一線を画しています。また、電子倉庫におけるデータ管理に関しても、NRMの技術協力によって万全のセキュリティを実現しています。

BPOとの違いについて話す河野さん
BPOとの違いについて話す小山内さん

小山内さん 電子倉庫の情報ネットワークは日本国内だけで完結しています。富士ロジテックのセキュリティエリアでスキャンしたデータは国内のデータセンターに送られ、24時間の監視がついた状態で管理されます。ワールドワイドのクラウドサービスでは、データが一度は国外に流れるため心配の種になることがあり得ますが、今回整備した電子倉庫サービスにおいてはそれがありません。

さらに電子倉庫では、データの整理と活用に関して、NRMが培ってきたノウハウに基づくコンサルティングをお受けいただくことも可能です。NRMは文書管理の専門会社として紙書類のファイリングと活用のノウハウを長らく大企業に提供するとともに、50年近く前から倉庫業界に働きかけて書類保管事業そのものの確立を促してきました。また、社会のデジタル化が本格的に進む前から、紙書類をスキャンする際のルールや、データ化した書類を扱うときのルールをお客様と一緒に作り上げてきました。

この電子倉庫サービスにおいても、データ化した書類をどのように整理して活用するか、お客様のご要望に応じたルールをともに作って差し上げることができます。こうしたコンサルティングが可能であることも、電子倉庫サービスが一般のBPOとは大きく異なるところです。

このサービスはいつからスタートするのでしょう。

河野さん ネットワークや文書管理システムの準備が2023年9月中旬に整いますので、それ以降すぐにサービスの提供を開始する予定です。

電子倉庫が、倉庫のプロと文書管理専門のコンサルティング会社、双方のノウハウを合体させた優れたサービスであることがよくわかりました。本日はありがとうございました。

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