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カレー沢薫のなりゆきデジタル化ぐらし〜Vol. 6〜

カレー沢薫のなりゆきデジタル化ぐらし~Vol. 6~

目次

    今年は例年より顧問税理士の催促が早かったため、確定申告期間が始まる前に確定申告資料の提出が終わった。

    しかしそんな快挙を成し遂げた私を待ち受けていたのは賞賛ではなく、裏切者に対する罵倒、そして「フリーランス界の恥さらし」という、嘲笑ですらあった。

    フリーランスが何故フリーランスをやっているかというと、その道に才があり、独立した方がそれを発揮できるからな場合もある。
    しかし「一般企業のポケットにはでかすぎて収まりきらなかった」という永遠の未完の大器が、最後の生きる道としてフリーランスをやっている場合もあり、私も後者の規格外側である。

    どういう点が一般企業の枠に収まりきらなかったかは、朝起きられない、最低1枚アクリル板を挟まないと人と会話できない、風呂と洗濯を重要視していない、など千差万別である。

    だが、地味に「事務作業が苦手」という特徴を持っている者も多く、請求書を出すぐらいなら報酬の方を諦めるフリーランスもいるぐらいだ。

    つまり、事務作業が苦手な者ほど確定申告という超事務作業に挑まなければいけないというバグが発生しているのだ。

    よって、確定申告は毎年ギリギリ、むしろ3月15日になってからやっと失踪を解除し、税理士の前に姿を現すという者もいる。

    よって、フリーランスになっておきながら、期日どころか期間前に書類を提出するという行為は「らしさを殺している」と、〇女と〇獣のオチを見たケモナーのように怒りくるわれても仕方がない。

    だが、安心してほしい。
    買い物に行っても、買う予定だった物を10個中4個は失念し、代わりに目についたマウソトレーニアとかを買ってきてしまうこの俺だ。
    確定申告の書類を出し終わったと言ってもそれで終わるはずもなく、後から不備を指摘され、追加書類を提出する羽目になるに決まっているのだ。

    そして今年も御多分に漏れず、後日「丸々一か月分の明細がない」と連絡を受けた。
    事務仕事が苦手な奴を急かして書類を出させたところで、こういうダイナミック処理落ちをして二度手間になるだけなので、急かすタイミングはもう少し見極めてほしい。

    そしてこの、追加書類の提出が毎年悩ましいところなのだ。
    私のような零細でも、1年分の書類となれば物量があり、それを全てデータ化して送るというのは逆にアナログなので、紙の書類のまま宅配で税理士事務所に送っている。

    しかし、追加の微々たる書類を郵送や宅配で送るのは手間だし、金もかかる。
    ちなみに私の家から税理士事務所まで車で5分程度だが、私を数百円で「外出」するような安い女と思わないでほしい。
    少なくとも1,000円以上の損失、または家に火がついていなければ外に出るつもりはない。

    僅かな書類ならスキャンデータで送ればいいと思うかもしれないが、私は5年以上つきあいがあるこの税理士事務所のメアドを未だに教えてもらっていなかったのだ。
    以前から「良かったらメアド教えてください」と、こちらのアドレスを教えているのだが、返信をくれたことがない。
    落語研究会に所属する私生活が謎の女よりもガードが堅いが、顧客の情報を守らなければいけない税理士としてはこのぐらいがちょうどいいのかもしれない。

    去年も教えてもらえず「追加書類はFAXでいいですよ」と逆に難易度が高いことを言われたのだが、今年も「恥ずかしながら我が家は竪穴式でFAXがないので」と前置きした上で「できたらメールで送らせてください」とメアドを再度報せたところ、なんと奇跡的にメールで返事が来た。

    逆に今まで何故教えてくれなかったのかが謎なのだが、多分去年まで「unkoburiburi@」等のアドレスを使っていたため顧客には教えづらかったのだろう、私もよくそういうことをやるのでわかる。

    これで今年は追加書類をデータで送れると思ったのだが、今度は「丸々一か月分足りない」というのがネックになってくる。

    例年通り数枚の不足であれば複合機でスキャンして送っていたのだが、一か月分となれば結構な枚数があり、1枚1枚スキャンするぐらいなら再度郵送した方が早いぐらいだ。

    だが、いつにない大々的な不足書類を出したのを補うが如く、今年我が家にはScanSnapがある。

    正直一度も実用されることなく、宝の持ち腐れという言葉の意味を世に知らしめただけで終わる連載だと思っていたものが、ここまで完璧に役に立つ瞬間が来るとは思わなかった。

    ScanSnapはサイズ自動読み取りなので、ハガキ大からA4までバラバラな出版社の支払い通知も一度で読み取り、一瞬で1つのPDFファイルにしてくれた。
    こうして私は、数十枚の資料を口座ごと3つのPDFファイルという極めてスマートな形で税理士事務所に送ることに成功し、確定申告作業はこれで終了した。

    ScanSnapはサイズ自動読み取りなので、ハガキ大からA4までバラバラな出版社の支払い通知も一度で読み取り、一瞬で1つのPDFファイルにしてくれた。

    カレー沢「これだけ豪快に送り忘れても大丈夫」

    もしScanSnapがなければ、複合機のガラス板に1枚1枚書類を載せてスキャンし、添付データが20個ぐらいついたメールを送って、早くも税理士にアドレスを教えたことを後悔されていただろうし、むしろ早々にデータ送信は断念し、郵送か「コンビニのFAX」という禁じ手に出るところだった。

    これで来年以降も確定申告の追加書類提出もすぐに対応できるし、なんなら税理士に送る資料全てスキャンデータでもいいような気がする。
    数か月分溜めて一気に送ろうとするから郵送の方が早くなるだけで、できるかどうかは別として、一か月分ずつ送るならデータで十分だ。

    ただ、先方が、私が送ったデータを「紙に出力」した後にデータ入力している可能性もあるので、その場合は申し訳ないと思う。

    そんなことはあり得ないと思うかもしれないが、私は会社員時代、メールで来た書類を紙に出力し、パソコンに明るくない老社員の机に置くという仕事をしていたので、可能性はゼロではないと言い切れる。

    (ご参考) 連携可能なインターネットFAXサービスもございます。

    豪快な送り忘れもすぐにデータ化送信
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    ScanSnap iX1600

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    この記事を書いた人

    漫画家・コラムニスト カレー沢薫

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    元気な漫画家、まだまだ成長中。文章をかきます。

    karezawakaoru