タブレットを活用したペーパーレス化のメリット・デメリットを解説

タブレット端末を導入し、業務のペーパーレス化を図る企業が増加傾向にあります。

ペーパーレス化とは、紙の資料を減らして業務効率を向上させることです。なぜ、スマートフォンやパソコンではなく、タブレット端末が選ばれているのでしょうか。

今回はタブレット端末を使ったペーパーレス化のメリット・デメリットについて詳しく解説します。

ペーパーレス化とは

ペーパーレス化とは、書類を紙に印刷するのではなく、PDFファイルなどにして使用することをいいます。

ペーパーレス化の考えは1970年代から存在していました。パソコンを使った情報共有が提唱されましたが、当時はそもそもパソコンを用意できる企業の数が限られていたことから、ペーパーレス化は広まりませんでした。

その後、パソコンやインターネットが多くの企業に普及し始めた1990年代に、再びペーパーレス化が提唱されるようになったのです。2000年代以降、インターネット回線のブロードバンド化やパソコン、モバイル端末の爆発的な増加によって、PDFファイルを用いたペーパーレス会議や、ペーパーレス化資料による情報共有などが行われるようになりました。

ビジネスにおけるペーパーレス化は、2010年代に各企業がタブレット端末を導入したことによって、本格的に動き出したとされています。

今では会社の営業職や役員が、タブレット端末で資料を閲覧する光景もめずらしくなくなっていますが、なぜタブレット端末が、各企業のペーパーレス化を促進したといえるのでしょうか。

タブレット端末はパソコンと比較して軽々と持ち運べ、スマートフォンよりも画面が大きく見やすいため、ビジネスシーンでの資料閲覧に適しているからです。

また、申請用紙や申込用紙などのサインが必要な書類でも、デジタル書類としてタブレット端末で表示すれば、画面上をタッチペンで操作するだけでサインをすませることができます。

つまり、タブレット端末はビジネス上の資料閲覧における、パソコンやスマートフォンの弱点を補うだけではなく、デジタル書類に直接筆記可能という特質も備えていることで、ペーパーレス化を後押ししているといえるでしょう。

ペーパーレス化の現状

日本製紙連合会によると、国内の新聞紙や印刷・情報用紙などの需要はICT化を要因のひとつとして減少を続けています。2000年代当初は約1,200万トンあった印刷・情報用紙の需要は、2010年代に入って約990万トンまで減少しました。

2004年11月に制定された「e-文書法」によって、ビジネス上で使用する文書の一部のデータ化が可能となったことも、印刷・情報用紙の需要低下につながったと考えられます。

しかし、それでも企業で使用する印刷・情報用紙の需要は、2018年時点で800万トン以上もあり、依然として紙の資料が多く使われているといえるでしょう。

ペーパーレス化のメリット・デメリット

現在、各企業で導入が進んでいるペーパーレス化には、以下のメリットとデメリットがあります。

ペーパーレス化のメリット

  • 資料を印刷するためのコストが削減できる
  • 資料を大量印刷しなくてもよいので、準備時間を削減できる
  • 資料の管理が簡単
  • 保管場所が不要
  • いつでもどこでも資料の閲覧と修正が可能
  • セキュリティ強化ができる
  • 資料廃棄にかけていたコストを削減できる
  • 必要な情報を簡単に検索できる
  • データ化した資料は破損せず、複製も簡単

ペーパーレス化のデメリット

  • 端末の画面の大きさによって見やすさが変わる
  • インターネット回線の影響を受けるので、回線が整備されていないと社員同士での資料共有が難しい
  • データ資料に慣れていないと使いづらい

ペーパーレス化にタブレットを使う理由

タブレットならば、ノートパソコンと比較して持ち運びも容易なので、いつでもどこでも資料が閲覧できるという特徴があります。

以下に、タブレットを使用することのメリットを詳しく見てみましょう。

  • かばんに入れて持ち運びやすい

    タブレット端末は軽量コンパクトなので、かばんに入れて持ち運びやすいという特徴があります。これにより、いつでもどこでも資料を閲覧できるというメリットが得られます。

  • 操作性が良く、タッチペンで直接資料に記入できる

    デジタルデータであれば、膨大な資料のなかから必要な情報を瞬時に検索することが可能です。画面が見やすく、読みやすいタブレット端末であれば、社外でも資料の閲覧、修正が容易に行えるでしょう。その際に、タッチペンで直接記入することが可能な点もタブレットの大きな魅力となります。

ペーパーレス化のために「ボーンデジタル」を目指す

ペーパーレス化には、現存する紙資料を電子データ化するという取り組みがありますが、ペーパーレス化推進以降に発生してくる紙書類についても電子化が必要となると、ペーパーレス化の効率がぐっと悪くなります。

紙書類の電子化作業の煩雑性を解消すると同時に、作業量を減少させていくためには、最初から書類などをデジタルデータとして作成する、「ボーンデジタル」という考え方の導入が大切です。

ボーンデジタルにもタブレットは有用

タッチペンで画面内のデジタル資料に入力が可能なタブレット端末には、最初からデジタルデータとして書類を作成するボーンデジタルの観点から見ても大きなメリットがあります。

依然として紙書類での作業が多い帳票業務を例にとり、ボーンデジタルを取り入れるメリットを以下に見てみましょう。

  • 転記作業が不要

    紙書類で帳票業務を行う場合は、紙に記入した内容をパソコンで入力しなおす必要があり、入力ミスが発生するリスクもあります。

    初めからデジタルデータとして取り込んであれば、転記作業の必要がないため、ミスの発生が抑えられることもあり、作業の効率性が向上します。

  • 紙書類の印刷コスト、管理・保管コストの削減

    紙書類であれば帳票類を印刷する必要があるので、印刷コストがかかり、書類保管のための場所を用意しなければなりません。

    デジタル資料であれば印刷コストをかけず、書類の保管場所を用意する必要もなく、破損や紛失のリスクも低いでしょう。

  • 入力作業が早く正確に

    書類に入力する項目が決まっている場合は、あらかじめそれを登録しておき、作業をする人が選択式で入力できるようにしておくと、作業を効率的かつ正確にすすめられます。

    また、入力データに不備がある場合は、その場でアラートを出すようにしておくこともできます。入力漏れや修正作業に追われる必要もありません。

他システムとの連携

ボーンデジタルのためにタブレットを新規に導入する場合であっても、メールを介した資料の送受信や、書類管理ソフトを用いた保管など、既存システムをそのまま使用できる場合があります。

紙書類からのデジタル化の手間が必要なく、メールやビジネスチャットで資料を配布することも容易であるため、この機会にタブレットの活用を検討してみるとよいでしょう。

タブレットを導入して、ペーパーレス化を推進する

ペーパーレス化の一環としてタブレット端末を導入すると、相手に最新の資料を提示しながら話を進めることが可能になります。タブレットは持ち運びが便利であり、必要情報をどこでもすぐに検索できるため、業務の効率化に大きく役立たせることができるでしょう。

また、タブレットならば、初めからデジタルデータとして入力することも容易なため、積極的にボーンデジタル資料の作成を奨励すると、デジタル化の作業を省くことができ、迅速な申請・許可作業や、リアルタイムな情報の活用につなげることができます。

すなわち、ボーンデジタル資料の作成を主眼に置くことで、ペーパーレス化と、業務効率化をいっそう推進させることが可能となるでしょう。

社内の既存システムとの連携した運用も可能なことがあるため、タブレットの導入を積極的に検討してみてはいかがでしょうか。

SHARE

関連記事