1. 導入事例
2023.3.16

スキャナーとAI-OCRの活用で「出来高払い」の円滑な運用に成功
請求書スキャンにより工事事務所の残業減と支払サイト10日間短縮等を実現

本社での大島さんと澤さんの写真

本社 管理本部 人事総務部 情報システム課の大島隆弘さん(右)と澤正一さん。東京都千代田区の株式会社松村組 本社にて。

日本の建築・土木の一翼を担う老舗ゼネコン、株式会社松村組では出来高払いに対応した「出来高査定システム」を自社開発し、工事事務所と本支店の請求書処理業務の効率化に成功しています。当システムでは業務用スキャナー「fiシリーズ」とAI-OCRソフトウェア「DynaEye」が重要な役割を果たしており、連携する文書管理ソフトウェアと会計システムのスムーズな運用にも一役買っています。東京都千代田区の本社を訪ね、その詳細をうかがいました。

株式会社松村組

人事総務部 情報システム課

業種:建設

課題
国土交通省が推奨する出来高払いの処理をいっそう効率化することが求められていた。また、働き方改革の一環としての労働時間抑制が急がれた。
解決法
「fiシリーズ」で出来高請求書をスキャンし、「DynaEye」を組み込んだRPA処理で記載内容を「出来高査定システム」へ自動入力。
効果
工事事務所業務の大幅時短と本社業務の効率化に成功し、出来高払いのスムーズな処理が実現したほか、電帳法対応の文書管理も実現。

1. 建設業界が進める改革に自社開発の「出来高査定システム」で対応

株式会社松村組 本社 管理本部 人事総務部 情報システム課の大島隆弘さんと澤正一さんにうかがいます。松村組はオフィスビルやマンションなどに加えて、美術館や学校といった文化的な建物を数多く手がけているイメージがあります。明治27年(1894年)に京都で創業したことと関係しているのでしょうか。

澤さん 当社はゼネコン(総合建設業者)の中では軍施設や官庁関係などの実績を多く積んでいるほうだと思います。ルーツである関西には京都の「聖母女学院」など、明治時代に当社が手がけた建物が複数残っています。全国に本支店を展開してさまざまな建築・土木工事を手がける現在も、特に関西では学校や老人ホーム、病院などに携わる比率が他社より高いかもしれません。

お二人が所属する人事総務部の情報システム課はどのような業務を担当しているのでしょうか。

大島さん 情報システム課では各部署からの依頼を受けてシステムを開発したり、運用や予算管理を行ったりしています。システムは社内で開発しているほか、要件定義の結果すべて自社で作るのが難しいときはアウトソーシングするなど、ケースに応じて切り分けて進め、その取りまとめを情報システム課で行っています。

松村組について話す大島さん

本社 管理本部 人事総務部 情報システム課長の大島隆弘さん。

松村組のルーツについて話す澤さん

本社 管理本部 人事総務部 嘱託(情報システム担当)の澤正一さん。

松村組では業務用スキャナー「fiシリーズ」を活用して「出来高査定システム」の運用、ならびに「電子帳簿保存法 スキャナ保存制度」(以下、電帳法と表記)対応の文書管理を実現しているとうかがっています。「出来高査定システム」の概要を教えていただけますか。

大島さん「出来高査定システム」は、我々ゼネコンが工事や部材納入等を発注した契約業者に対して、月次で出来高を算出して支払を行う出来高払い(出来高部分払方式)をスムーズに運用するために、自社で開発した請求書処理システムです。

出来高払いは、回数が少ない、間隔が長いといった理由で契約業者に負担がかかることもあった旧来の支払方式に代わるものとして国土交通省が推奨しており、契約業者の経営が圧迫されることのないよう、近年業界を挙げて導入を進めています。当社でも10年ほど前から出来高払いに対応していましたが、2020年の春に「出来高査定システム」を開発・導入し、よりスムーズな処理を実現しました。

「出来高査定システム」画面例1
「出来高査定システム」画面例2

「出来高査定システム」画面。松村組の自社開発システムで、2020年春から稼働しています。

業界全体としての出来高払いへの移行は、SDGsに代表される企業の社会貢献の一環でもあるのでしょうか。

大島さんまさにその通りで、一人親方を含む小規模な契約業者が健全に経営できるようにすることと、業界全体としての働き方改革を実現することが最大の目的です。それに加えて、出来高を確定して支払うことにより、我々ゼネコン側も支払までのフローを省力化できます。特に「出来高査定システム」導入後は、業者とのやり取りを一手に担っている工事事務所の業務が如実に効率化されました。

工事事務所はどのような事務所でしょうか。

澤さん工事事務所は、工事現場の敷地内や近隣にその都度開設する事務所です。所長は現場ごとに任命されて、そのプロジェクトにおける工事推進者として工期の管理、工事の監督、業者との交渉と、およそ現場のすべてを取り仕切ります。

工事事務所内に配備されたfi-7030
工事事務所内の様子

建設現場近くに設置された工事事務所の様子。「fi-7030」が配備されています(詳細は後述)。

「出来高査定システム」の導入により、工事事務所の業務はどのように変わったのでしょうか。

大島さん導入前の方式では、契約業者から工事事務所に請求書が届いたら、支払金額などを所長が査定して手計算で確定させ、当時のシステムに手入力していたため、非常に手間がかかっていました。現場を取り仕切りながらの入力作業にはかなりの負担が伴っており、大規模な現場の工事事務所では連日3人がかりで入力するといったこともありました。

澤さん以前はあくまでも「金額ありき」で出来高払いを進めていましたから、「これだけ支払ったから工事はここまでの出来高」と、あとから出来高を算出していたんですね。それに対して「出来高査定システム」導入後は先に出来高を査定し、所長が「この工事の出来高は何パーセント」と決定すれば、契約の総額に照らして支払金額が決まるようになりました。

大島さんたとえば計200立米のコンクリートを契約業者に打ってもらう場合、ある月に100立米を打ったなら出来高は50パーセントですから、契約した総額の50パーセントが支払金額になるというように、スムーズに金額を確定できます。

また「出来高査定システム」導入後は手で入力する作業がなくなり、契約業者から届いた請求書を「fiシリーズ」でスキャンするだけになりました。スキャン後はRPAが自動で「出来高査定システム」に数字を入力するので、エラーが出たときの修正を除いて原則的に手間がかからず、残業時間を抑制することもできました。

さらに、「出来高査定システム」の導入によって、毎月25日締めの翌月15日払いという支払サイト短縮が実現しています。以前は15日締めの翌月15日払いでしたから、10日間縮めることができました。

それはかなり早いですね。また、契約業者から見ればその10日間に納入したものも当月の請求に入れられ、経営上のメリットを得られますね。

大島さんはい、契約業者にはかなりのメリットがあると思います。

支払も「出来高査定システム」が行うのでしょうか。

大島さんいえ、「出来高査定システム」と連携した会計システムが行っています。当社では会計システムとして、建設・工事業向けソリューションを手がける「あさかわシステムズ株式会社」のERPシステム「ガリバー・プロステージ」を導入しており、「出来高査定システム」上で経理の確認が完了すると「ガリバー・プロステージ」が支払処理を行います。

連携する会計システムの画面

「出来高査定システム」と連携する会計システム「ガリバー・プロステージ」の画面。

2. 請求書を「fiシリーズ」でスキャンして「DynaEye」でOCR処理、RPAでシステムと自動連携

「出来高査定システム」連携図

「出来高査定システム」の連携図

請求書のスキャンを起点に「出来高査定システム」と会計システムの「ガリバー・プロステージ」、コンテンツ総合管理ソフトウェアの「OnBase」が自動で連携します。

「出来高査定システム」運用の具体的なフローを教えてください。

大島さん 大まかな流れとしては次の通りです。
(以下、前掲図より)
① 工事事務所所長が当月の査定を行う。また各契約業者に対して請求書発行を依頼する。
② 請求書が届いたら所長が各項目をチェックし、記載内容に誤りがあれば修正するか、契約業者に請求書の再発行を依頼する。
③ チェックの終わった請求書を「fiシリーズ」でスキャン。RPAがイメージデータを「DynaEye」でOCR処理してCSVファイルを生成、「出来高査定システム」に自動で連携。
④ 「出来高査定システム」上で工事事務所所長・査定官が内容を確認。
⑤ 「出来高査定システム」上で経理が内容を確認して「ガリバー・プロステージ」に連携、支払処理を行う。

なお、この流れと並行して、当社では電帳法対応の文書保存も行っています。文書管理にはHyland Software社のコンテンツ総合管理ソフトウェア「OnBase™」を導入しており、上記のRPAからイメージデータが「OnBase」に送られて保存されます。このとき、イメージデータが書類原本と同じかどうか、第三者によるチェックが必要になるため、③でスキャンした請求書の原本は後日、工事事務所から本支店に持ち込まれて総務のチェックを受ける決まりになっています。

いくつか補足的にうかがいます。①②で契約業者から受け取る請求書は、書式がバラバラなのでしょうか。

大島さん 請求書は当社の書式に統一しています。契約業者には当社HPからExcelの請求書フォーマットをダウンロードしていただき、金額等を入力後に出力して捺印の上、工事事務所まで郵送または持ち込みでお渡しいただいています。フォーマットはA4横を採用しています。

請求書はすべて出来高払いの請求書でしょうか、それとも一時払いの請求書なども発生するのでしょうか。

大島さん 一時払いの「諸口」もあります。諸口には、たとえば急きょ警備員を雇ったといったものから、釘や長靴を買ったというような細々とした支出までが含まれます。こちらも出来高払い用と同様のA4横で、記載項目が若干異なるフォーマットがあり、それに入力して送っていただきます。

松村組フォーマットの出来高請求書の例
一時払い用の諸口請求書の例

松村組フォーマットの出来高請求書(左)、右が一時払い用の諸口請求書(右。詳細は後述)。ともに契約業者が入力し、紙に出力します。

松村組フォーマットの出来高請求書(上)、右が一時払い用の諸口請求書(下。詳細は後述)。ともに契約業者が入力し、紙に出力します。

将来的に契約業者から請求書がデータで届くことも考えられるのでしょうか。

大島さん 国土交通省は電子化を推奨していますが、すべての契約業者が対応するのは難しいことから、当分の間は紙でのやり取りが残ると考えており、「出来高査定システム」にスキャナーを導入したのもそれを見越してのことです。

③のスキャンについて、「fiシリーズ」のどの機種を何台、導入されているのでしょうか。

大島さん 工事事務所用としてはA4コンパクトスキャナーの「fi-7030」を約70台、導入しています。これとは別に、本支店にはA4ネットワーク対応スキャナー「fi-7300NX」を計10台配備していますが、目的が異なるため詳細は後述します。

工事事務所に導入されている「fi-7030」
本社に導入されているfi-7300NX」

工事事務所にはコストパフォーマンス重視のA4コンパクトスキャナー「fi-7030」(左)を、本支店にはA4ネットワーク対応スキャナー「fi-7300NX」(右)を導入しています。

工事事務所にはコストパフォーマンス重視のA4コンパクトスキャナー「fi-7030」(上)を、本支店にはA4ネットワーク対応スキャナー「fi-7300NX」(下)を導入しています。

一つの工事事務所でスキャンする請求書の枚数は、毎月どのくらいになるのでしょう。

大島さん 工事の進捗にもよりますが、15億円規模の現場を例にとると、100枚ほどの請求書が毎月発生します。100枚を毎月処理するのに、以前は2日から3日にわたり毎日4~5時間かけて作業していましたが、現在は1日か2日、30分~1時間の作業で終わるようになりました。

fiシリーズで読み取ったイメージデータのOCR処理にはPFUのAI-OCRソフトウェア「DynaEye」をお使いとうかがっています。文字を認識する項目を具体的に教えていただけますか。

大島さん 出来高請求書の場合、請求書ナンバー、決定出来高累計、決定出来高当月、修正出来高(可変)の6~30項目などです。諸口請求書も、項目は異なりますが同様の読み取りを行います。

印字された請求書の例

請求書に印字された文字と手書きされた数字を「DynaEye」で認識します。

「DynaEye」の認識精度はいかがでしょうか。また、認識エラーがあった場合、データ修正はどのタイミングで行っていますか。

大島さん 数字の認識精度は良好です。摘要欄など日本語部分には一部、エラーが発生することがあります。OCR処理後、CSVファイル加工時点でエラーが見つかった場合、情報システム課でイメージデータを見ながら修正を行います。

請求書をスキャンしたイメージデータのファイル名はどのように付与していますか。

大島さん 「fiシリーズ」の標準添付ソフトウェア「PaperStream Capture」の機能で8桁のシーケンス番号を付け、あとからイメージデータを確認するときに手早く検索できるようにしています。

「出来高査定システム」への自動入力後、工事事務所所長とともに内容を確認(④)する「査定官」はどのような立場の方でしょうか。

大島さん 査定内容を確認する職務で、主に建築課長や部長が担当します。工事事務所所長の確認と査定官の第三者的な確認、二重のチェックを行います。「出来高査定システム」によって両者の同時確認や、リアルタイムでの修正も可能です。

以前は総務や経理などの部署でもチェックしていたため時間がかかっていましたが、今はシステムを利用していこうということで、工事事務所所長と査定官が確認したらそのまま経理に渡して、⑤で経理が「ガリバー・プロステージ」に取り込むときにチェックをかけています。この省力化も前述の支払サイト短縮の実現に大きく貢献しています。

3. 請求書の手入力からスキャンへの移行で請求書処理に要する時間が半分になった

ここでは東京都内の賃貸マンション建設現場で工事事務所所長を務める、株式会社松村組 東京本店 建築部 建築課 所長の返町雄介さんに、「出来高査定システム」の導入によって工事事務所の請求書処理業務がどの程度効率化されたのかをうかがいます。「出来高査定システム」導入後の現在、契約業者に請求書発行を依頼してからの業務の流れをお聞かせください。

返町さん まず、納入実績に基づく請求書が契約業者から上がってきたらこちらで内容を精査します。工事が始まる前の契約で合計の金額が決まっていますので、それに対する出来高が先月8パーセント、当月10パーセントであれば、当月の請求は2パーセントになりますから、そうした数字を確認していきます。精査の結果、請求書の金額が合致していればそのまま通し、もし誤りがあれば手で修正します。修正した場合は契約業者の確認を取り、金額を確定します。

工事事務所での返町さん

東京本店 建築部 建築課 所長の返町雄介さん。東京都内の工事事務所にて。

現在担当されているマンション建設工事では、毎月何通くらいの請求書を受け取るのでしょうか。

返町さん 現在担当している現場は工事が始まって間もないため、まだ工種が限られ、出来高・諸口ともにさほど多くは発生していませんが、それでも毎月10通以上は受け取っています。工事が進んで終盤に差しかかれば、比較的規模の小さいこの現場でも毎月40~50通にはなるでしょう。

「出来高査定システム」導入前は、それらのすべてを自ら入力していたのですね。

返町さん そうです。入力に先立って、届いた請求書すべての金額を査定し、その結果確定した金額を請求書の所定の欄に書き込む仕事もありました。それを当時のシステムに手で入力して、その結果を自分の目で確認する作業もありましたので相応の時間がかかり、帰宅が遅くなることもしばしばでした。それに対して現在は、出来高と金額が合っていれば特に書くこともなく、内容のチェックだけ済ませればそのままスキャナーに流すだけですから、だいぶ早くなっていますね。

請求書の例

以前は多くの項目で計算と手書きが必要でしたが、現在は受け取った出来高請求書を精査し、修正の必要があれば「修正出来高」欄に数字を書き込むだけです。

「fi-7030」でのスキャンの様子

チェックの終わった請求書は「fi-7030」でスキャンするだけ。RPAが「出来高査定システム」に自動で入力するため、所長自ら手で入力する必要もなくなりました。

スキャン後にイメージデータをRPAが処理したあと、認識エラーが確認された場合、工事事務所にも通知されるのでしょうか。

返町さん はい。エラーの場合は請求書の通し番号で「何番にエラー」という通知が1通ずつ届き、通った場合は「何番から何番までオーケー」とまとめて知らせてくれます。

スキャン結果を確認する様子
「PaperStream Capture」の画面例

「fiシリーズ」の標準添付ソフトウェア「PaperStream Capture」でスキャン結果を確認。RPAに流れたあと、エラーがあればメールで通知が届きます。

「出来高査定システム」導入前後を比較して、どのくらいの時短が実現しましたか。

返町さん それだけを抽出して計算したことはありませんが、入力を終えた請求書の束を東京本店に持っていくまでの日数でいえば、以前は締日から1週間以上あとだったものが、現在は3日後か4日後になっています。

出来高請求書の枚数が多いので、効果も大きかったのですね。

返町さん そうですね。手計算のストレスもなくなりましたし、だいぶ変わったなという実感があります。

「出来高査定システム」のOCR認識結果画面例

「出来高査定システム」より、処理案件一覧の画面。このうちブルーはスキャン済み、白は未スキャン。OCR処理結果の確認もこの画面で行います。

4. 「fi-7300NX」で経費精算書をスキャンして社員別のフォルダーに保存、ワークフローへ

ここからは再び大島さんと澤さんにうかがいます。「出来高査定システム」の導入にあたり、「fiシリーズ」を選択された理由をお聞かせください。

大島さん 以前、あるセミナーでPFUのスキャナーをRPAに組み込んだ効率化の事例を見て、「こういう方法があるのか」と印象に残っていました。そこで、システムを替えるなら業務の省力化も同時に実現したいという話が社内で出たときにスキャナーの活用を提案しました。

PFUのfiシリーズを選択した理由は、スキャナー自体もさることながら、システムのポイントになるOCRソフトウェアの性能が高かったことにあります。クラウド型のAI-OCRなども試したのですが、オンプレミス型の「DynaEye」は高い認識率に加えて、大量OCR時もレスポンスがよい点、セキュリティが万全である点などで他に抜きんでていると思いました。

澤さん それに「fiシリーズ」の場合、スキャン性能や画像処理能力だけではなくデータの保存方法や保存先、検索の利便性まで考えて細かい設定ができるところが優れていると思います。当社の管理部門も、トータルな使い勝手を考慮しているメーカーである点を高く評価しました。

大島さん そこでPFUに相談したところ、「出来高査定システム」と連携するRPA、文書管理ソフトウェアまでをオールインワンで構築できるということでしたので、採用を決定しました。「出来高査定システム」の導入が急がれる状況でしたから、非常に助かりました。

PFUについて話す大島さん

「PFUにオールインワンで任せることができて助かりました」と大島さん。

工事事務所に「fi-7030」、本支店に「fi-7300NX」と、機種を分けて導入した理由をお聞かせください。また、本支店に配備した「fi-7300NX」はどのような目的で活用していますか。

澤さん 工事事務所は数が多く、基本的にスキャン対象はA4の請求書なので、コストパフォーマンスを重視して「fi-7030」を採用しました。

大島さん 本支店の「fi-7300NX」は、ワークフローによる経費精算に使っています。経費精算書に領収書やレシートを貼ってスキャンし、ワークフローに回すという使い方です。

澤さん 「fi-7300NX」はタッチパネル操作とネットワーク接続が可能で、パソコンを使わずスキャンができるため採用しました。また非接触ICカードリーダーを搭載しているので、社員証をかざすとイメージデータが各自のフォルダーに入ります。本社・本支店では各フロアに1台ずつ置いてあり、経費精算をしたい社員がそこに行って社員証をかざしてスキャンしています。

大島さん この機能も「導入してよかった」と思うところです。生成したPDFはワークフローに流れるほか、文書管理のため各自で「OnBase」に貼り付けてもらっています。現在は「OnBase」への貼り付けもRPAで自動化してほしいという声に応えて、PFUにRPAの構築を依頼しているところです。

「fi-7300NX」のICカードリーダーを活用する様子
経費精算の書類をスキャンする様子

「fi-7300NX」の非接触ICカードリーダーを活用し(左)、経費精算の書類をスキャン後、社員別のフォルダーに保存しています。

「fi-7300NX」の非接触ICカードリーダーを活用し(上)、経費精算の書類をスキャン後、社員別のフォルダーに保存しています。

「出来高査定システム」とスキャナーの導入時、運用はスムーズに進みましたか。

大島さん システムの抜本的な更改でしたから、最初の3か月ほどは工事事務所からの問い合わせもたくさんありましたが、それ以降はおおよそスムーズに推移しています。

澤さん むしろ便利なシステムに慣れたがゆえに、締日の翌日にまとめてスキャンする工事事務所が増えた結果、つい先日は1,000件が一気にシステムに流れてきました。スキャナーは1~2分で100件を送れますが、システムは1件あたりの処理にチェックを含めて30~40秒かかりますので、1,000件来るといつまで経っても終わらない状況になります。ただ、それもまた効率化が成功した結果ですから、情報システム課としては応えなければなりません。そこで今、RPAでのOCR処理の負荷を分散するため、並行で処理できないかとPFUに相談しています。

大島さん 3スレッドくらいの並列処理ができるとだいぶ楽になります。PFUと協力して実現させたいと思います。

「fiシリーズ」ならびにPFUの技術が業務効率化の一助となれて幸いです。本日は詳しくお聞かせくださり、ありがとうございました。

※Hyland, creator of OnBaseおよびOnBase by Hylandは、アメリカ合衆国とその他の国で登録されたHyland Software, Inc.の商標です。
※その他の社名、製品名は、一般に各社の商標または登録商標です。

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