業務⽤A3スキャナーの選び⽅と基本機能 書類向けスキャナーの特徴を知ろう
働き方改革やテレワークの増加などでペーパーレス化が進み、紙資料をデータ化する機会が増えています。複合機でも書類のスキャンはできますが、業務上のさまざまな原稿をデータ化するには、安定した動作で素早く情報を読み取る機能が欠かせません。
業務用のA3スキャナーは、高い給紙性能や高速な読取速度、作業効率を上げるさまざまな機能を備えています。この記事では、書類の読み取りに特化した業務用スキャナーの特徴や選び方、使い勝手のよいA3スキャナーを選ぶポイントの解説に加え、用途別のおすすめのモデルをご紹介します。

1スキャナーの種類を知ろう

スキャナーとは、原稿などの対象物をデジタルデータに変換する入力装置で、読み取り方法によりいくつかの種類があります。
【シートフィードスキャナー】

連続で原稿を読み取るタイプです。大量の原稿読み取りに力を発揮するため、ドキュメントスキャナーとも呼ばれます。

【フラットベッドスキャナー】

原稿台のガラス面に1枚ずつ紙をセットして、データを読み取るタイプです。冊子など厚みのあるものや、写真やイラストを高画質でスキャンするのに向いています。

そのほか持ち運べるハンディタイプ、非接触で対象物を読みとるオーバーヘッドタイプもあります。

2業務用A3スキャナーの特徴

ここでは、書類向けのA3業務用スキャナーの特徴を詳しくみていきましょう。

自動給紙機構(ADF)を搭載

業務用A3スキャナーは、原稿を1枚ずつセットして読み込めるのはもちろん、自動給紙機構(ADF:Automatic Document Feeder)も搭載しています。
大量の原稿をデジタルデータ化する場合は、スキャナーの使い勝手が重要です。いくら美しく高精細に画像がスキャンできたとしても、1枚ずつ原稿を読み取り台にセットする方式では、人手がいくらあっても足りません。
ADFを搭載している業務用A3スキャナーの場合、原稿の束をまとめてセットすると自動的に1枚ずつ給紙して連続スキャンができるため、1日に数万~十数万枚のデジタルデータ化にも対応可能。なかには一度にセットできる原稿搭載容量が100~500枚までという大容量モデルもあり、原稿をセットする手間が軽減できます。

読み取りスピードが早い

業務用A3スキャナーでは、原稿の高速読み取りが可能です。例えば、カラー原稿の読み取り速度は1分あたり100枚を超えるモデルもあります。

また同じA4書類を読み取る場合でも、A4スキャナーでは書類を縦向きで送りますが、A3スキャナーの場合は書類を横向きで送ってスキャンできます。横向きの場合、ローラーで送らなければならない紙の長さが短くなるため、読み取りにかかる時間も短縮できるのです。さらにほとんどのモデルが両面読み取りに対応。あっという間にデジタル画像が生成できます。

データ活用しやすい画像品質

グラフィック向けのA3スキャナーは光学解像度が2400dpiなどのモデルもありますが、書類向けA3スキャナーの光学解像度は600dpiもあれば十分です。
【㆒般的なデータの解像度例】
  • ディスプレイに表示:約100dpi
  • メールへ添付:100~150dpi
  • OCR(光学文字認識):300dpi
  • プリンターで高解像度に印刷:300dpi(カラーやグレースケールの場合)
例えば領収書や請求書、伝票などの書類をスキャンする場合、高解像度かどうかよりも書類の文字が読み取れることのほうが重要です。業務用A3スキャナーは、画像の中の文字情報を正確に読み取り、使いやすい形に整理する付加機能が充実しています。
【A3スキャナーの機能例】
  • OCRに適した文字の視認性が高いモノクロ画像へ変換
  • 画像からOCRで文字情報を抽出してデータベースへ出力
  • 原稿の向き補正や傾きの補正
  • カラーやサイズの自動検知・白紙削除

上に挙げたような機能があれば、A3~A8サイズの紙や非定型サイズの領収書、横向きの原稿や縦向きの原稿など、さまざまな原稿が混ざった状態でもまとめて読み取りが可能です。

業務用A3スキャナーとして大量のデータをスキャンするからこそ、特別な設定をしたり、分けたりする作業が減らせればより利便性が高くなります。

耐久性がある

故障やトラブルで業務を停止させないために、業務用A3スキャナーにはとくに耐久性が求められます。
開発中に行われる「温度試験」「耐久試験」「振動試験」「落下試験」など、品質への取り組み状況は、業務用A3スキャナーの耐久性を知るひとつの目安になります。
輸送中の振動や落下、使用中の読み取りエラーやスイッチングの経年劣化に伴う影響などの品質評価を行っている業務用A3スキャナーは、導入してから長いあいだ活躍してくれることが期待できます。

3業務⽤A3スキャナーの選び⽅

ここでは業務用A3スキャナーとして重視すべき選び方を詳しく紹介します。

安定して原稿を読み取る給紙搬送性能で選ぶ

ADFを使って高速スキャンする場合、給紙の安定性は非常に重要です。原稿が少しでも傾いたり重なって送られたりすれば必要なデータが読み取れません。さらに紙が詰まれば、大切な原稿が破損してしまうでしょう。
【スキャナーによくあるトラブル】
  • 原稿が重なって給紙されたために、データが抜け落ちてしまう
  • 原稿が傾いて給紙されたために、紙がくしゃくしゃになったり破れたりする

特にトラブルが多い工程は、原稿台にセットした原稿から1枚だけを引き出して自動給紙する部分です。業務用A3スキャナーを選ぶ際は、2枚送りや傾きを防ぐ工夫がされているかを重視しましょう。給紙機構や搬送路、読み取りエラー対策に注目すると選びやすくなります。

さらに、一部にはステープル付き原稿が原稿保護機能で停止するモデルもあります。万が一、紙詰まりが起きた際にも原稿を守る機能があれば安心です。

書類の高速読み取りに耐えるセンサーと補正機能で選ぶ

CCDは被写界深度が深く焦点が合いやすい

搬送時に原稿がバタついてもシャープな画像を出力

業務用A3スキャナーでは、連続スキャンをしながら読み取ったデジタルデータに画像補正などを行い、後工程で使いやすいかたちに調整します。
イメージセンサーの種類は、CCDが主流です。CCDは原稿の焦点が合ってみえる範囲である被写界深度が深く、凹凸のある原稿でも隅々まで均一に読み取れる特長があります。
高速で紙が送られている際は、原稿が搬送路の隙間でバタつき、1枚の原稿を読み取っている間でもイメージセンサーと原稿の距離が微妙に変わってしまうことがあります。しかし、被写界深度が深いCCDなら、原稿とイメージセンサーとの距離が変わってもぼやけず焦点を合わせて画像が出力可能です。
また、付加機能として読み取り補正関連の機能にも着目してみましょう。カラー原稿や地紋や網掛けのように特殊なデザインが含まれる原稿からでもモノクロの二値画像が生成できる画像処理機能があれば、OCRの認識率が高まります。
【読み取り補正関連の機能例】
  • 背景のノイズ、地紋を除去
  • 薄い文字やかすれた文字を補正
  • 特定の色のみを除去するドロップアウトカラー

原稿の読み取り時の効率で選ぶ

業務で書類をスキャンする際には、書類をセットしてからスキャンした画像を確認し、また次の書類をセットすることを何度も繰り返します。いくらスキャナー自体が高速でも、原稿をスキャンしている作業者の動線や作業性が悪ければスキャンに時間がかかって効率が悪いです。
例えば、高速で書類を読み取ると、読み取った原稿が排出口から勢いよく飛び出して書類がバラバラになってしまいます。
そこで業務用A3スキャナーには、原稿の排出スピードが制御できるモデルがあります。読み取った原稿を集めてそろえる時間が短くなれば、スキャン後の原稿の整理も簡単です。
【読み取り効率関連の機能例】
  • 最大セット可能枚数が多い
  • 読み取り途中で原稿の継ぎ足しが可能
  • 排出スピード制御
  • 原稿台の高さ調整
  • 原稿台と排出口がスキャナーの正面にある
  • 原稿読み取り部が回転するなど左利きに対応

ソフトウェアの使いやすさで選ぶ

業務用A3スキャナーは、スキャンして作成したデータの使いやすさも考慮すべきでしょう。目的や書類に合わせて読取条件や出力方法を事前に指定しておくことで、保存先フォルダやファイル名を自動で設定してくれる機能があると、毎回手作業で管理情報を入力したりデータを分類したりする手間が省けます。

【読み取り後の効率関連の機能例】
  • 条件によるスキャンデータのファイル分割
  • バーコードによる自動フォルダ仕分け
  • QRコードやキーワードによるファイル名の自動生成
また、読み取り後の画像処理が早く、すぐにディスプレイでプレビュー確認ができれば、連続スキャン後の待ち時間が削減できます。
さらにあとでデータと原本を照合する場合は、各々の見つけやすさも重要です。インプリンタ機能があれば、読み取りデータと原稿へ「テキスト」「日付」「カウンター」などで構成される共通の管理情報を自動付与できるため、データの取り違えが予防できます。

4【目的別】業務用A3スキャナーのおすすめ機種

リコーのfiシリーズは、業務用のスキャナーとして世界のさまざまな場所で利用されています。今回はfiシリーズのA3スキャナーモデルの特長をピックアップして、その魅力やおすすめの業種・業務についてご紹介します。

大量入力作業には大容量対応のA3スキャナー

製造・物流・自治体・流通など、短時間で大量書類の読み取りが求められる場合には、A3スキャナーのハイエンドモデルfi-8950/fi-8930がおすすめです。
スキャンスピードはカラー原稿が1分あたり150枚または130枚(A4横、200/300dpi)の読み取りができ、750枚までの原稿なら一度にセット可能。両面読み取りやインプリンタにも対応するほか、3つの原稿検知センサーが小さな画像を逃しません。
原稿は、セットした原稿の上側から取るため安定的に給紙ができ、薄い伝票でも2枚送りしにくい自動トルク制御を採用しています。
また、高さを抑えた「前面給紙・前面排紙」構造のため、座ったままでも作業が可能。長時間の作業負荷を軽減します。
【1日あたりの読み取り目安】
・fi-8950:~130,000枚 ・fi-8930:~110,000枚
fi-8950/fi-8930はこんな方におすすめ
  • 人手や時間をかけずにとにかく短時間で集中的に電子化したい
  • 薄紙伝票など搬送が難しい紙をまとめて読み取りたい
  • スキャニング業務に携わる従業員のストレスを軽減したい
【おすすめの業務例】
  • 入力代行:顧客原稿のデータ化
  • 物流:配送伝票のアーカイブ
  • 製造:納品書の検収処理

多様な書類読み取りにはフラットベッド付きのA3スキャナー

古い資料や裁断できない冊子など、傷みやすい原稿の読み取りがある場合には、フラットベッドがついたA3スキャナーのfi-7700/fi-7700Sがおすすめです。
このモデルはフラットベッドの読み取り台のカバーを開けたままスキャンしても必要なデータ部分だけを切り出せる「カバーオープンクロップ機能」を搭載。冊子のページをめくりながらの連続読み取りなどもカバー開閉の手間がなくスムーズです。また、ADF部が180°回転するため、左利きの方でも作業しやすいユニバーサルデザインです。
ADFはカラー原稿が1分あたり100枚または75枚(A4横、200/300dpi)読み取りできます。原稿がまっすぐ送られる構造のため、折り目やカールがある原稿でも両面スムーズに読み取れます。
【1日あたりの読み取り目安】
fi-7700:~44,000枚 fi-7700S:~33,000枚
fi-7700/fi-7700Sはこんな方におすすめ
  • 定期的に大量書類の読み取りニーズがある
  • 古い紙資料をアーカイブしたい
  • 冊子など厚みがある原稿もデータ化したい
【おすすめの業務例】
  • オフィス:契約書の電子化
  • 医療:問診票や検査結果など副カルテの電子化
  • 出版:赤入れ原稿の電子化
  • 流通:アンケートの電子化

デスク脇のさまざまな事務処理にはコンパクトなA3スキャナー

fi-7480/fi-7460は、A3スキャナーの中でもコンパクトなタイプです。デスク脇に置いておけば必要なときにさっと使用できます。
原稿の傾きを抑制する「斜行補正機構」やマイクやセンサーで原稿が正しく送られているかを検知して、異常時には読み取りを停止する「原稿保護機能」を搭載しているため、大切な原稿の破損を防ぎつつ正しくスキャンをします。
また、「両面読み取り機能」や読み取ったあとの原稿のばらつきを抑制する「排紙制御機能」もついています。「手差し・単送モード」を使用すると、複写伝票や封筒のように分離できない原稿も読み込めます。
【1日あたりの読み取り目安】
fi-7480:~24,000枚 fi-7460:~18,000枚
fi-7480/fi-7460はこんな方におすすめ
  • 働き方改革やテレワークによりペーパーレス化を図りたい
  • デスクのそばに置いておいて、手元ですぐにデータ化したい
  • コンパクトなA3スキャナーが欲しい
【おすすめの業務例】
  • 文教:答案用紙・原稿用紙の電子化
  • オフィス:履歴書、各種申請書類の電子化
  • 自治体:各種申請書類の電子化

5業務用A3ドキュメントスキャナーは目的に合わせて選ぼう

業務用スキャナーは、ドキュメントスキャナーとも呼ばれています。自動給紙方式であるADFを搭載しているモデルは、大量の原稿の連続スキャンや両面読み取りが素早く行えます。
リコーのfiシリーズは、安定した給紙搬送性能や高度な画像処理が特長のスキャナーです。fiシリーズのA3スキャナーのバリエーションには、機種ごとに特徴があるため、ニーズに合致するモデルをぜひ見つけてください。業務用A3スキャナーの導入で、業務効率を高めて従業員の貴重な時間を節約しましょう。
Writer
鈴木 郁恵
電機系セットメーカーに10年在籍。その間商品企画、機構設計部門に在籍しマーケティングや樹脂・板金部品の設計に携わる。現在はライターとしてCAD、IT系、ビジネスコンテンツと幅広いジャンルの記事を執筆中。
【機種選びに迷ったら】
業務用A3スキャナー各機種のスペックや機能については「A3スキャナー簡単比較ガイド」で詳しくご紹介しています。使い勝手のよい機種を選ぶためにお役立てください。また、無料のデモ機貸し出しサービスも行っておりますので、ぜひご活用ください。

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