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第一生命保険株式会社様

マルチAI-OCRプラットフォームで事務作業の約4割の効率化を目指す
人的リソースを付加価値の高い仕事へシフトすることで新たな働き方を創出

第一生命保険株式会社は、テクノロジーを活用した業務の効率化や、お客様サービスの向上に力を注いでいる。その一環として取り組んでいるのが、紙の書類を扱う業務の自動化だ。PFUは複数のAI-OCRを制御するプラットフォームとして「ABBYY FlexiCapture®」を提案し、システム構築を支援した。これにより事務作業について約4割を効率化する見込みであり、人的リソースをより付加価値の高い仕事にシフトしていく。



事務作業の自動化に向けて紙の書類の読み取りが課題に

1902年に日本初の相互会社として創業した第一生命保険株式会社は、以来100年以上にわたって生命保険事業を展開し、アメリカ、オーストラリア、アジア各国でグループ会社を設立している。また、資産形成のための貯蓄性商品に特化したフロンティア生命、来店型保険ショップ、銀行代理店販売等への商品提供を目的としたネオファースト生命を展開し、事業領域を広げてきた。
社員は現在約55,000名。そのうち11,000名が内勤職員だ。この内勤職員の中でも主に個人保険の事務手続きに関する領域においてテクノロジーの活用を推進するのが、第一生命保険株式会社 事務企画部 事務企画課 マネージャー 岩元 慎弥氏だ。
「当社では2016年ごろから保険(Insurance)と情報技術(Tech)を組み合わせるInsTechの取り組みを打ち出し、業務の効率化やお客様サービスの向上に取り組んでいます。2016年にはまだ国内に販売網のなかった海外のRPA製品の検討を開始し、実際に海外に訪問して開発や運用のポイントについてヒアリング等を行い、2017年に導入を実現しました」と岩元氏が語る通り、同社は業界に先駆けてテクノロジーを導入していることで知られる。
岩元氏がかねてから取り組んできたのが、個人保険事務手続きに関するオペレーションの自動化だ。対象としているのは、名義変更手続きといった保全・契約サービス、保険料の入金管理、保険金給付金支払といった領域である。こうした手続きには、免許証等の本人確認書類や病院の診断書や領収書といった書類が必要となり、どうしても紙を取り扱う業務は残る。紙の書類があるかぎり、人が紙の内容をシステムに入力する業務や提出書類の記載内容が正しいかを点検する作業はなくならない。この問題を解決するため、同社ではOCRによる「文字認識」と、免許証の名前と請求書の名前が一致しているかといった「内容の点検作業」を自動化する取り組みをかなり前から進めてきたが、重要となる文字認識については当時のOCR技術では期待する精度には遠く及ばなかった。


AI-OCRで文字を読み取るだけでは業務の効率化が実現できない


岩元 慎弥 氏
第一生命保険株式会社
事務企画部 事務企画課
マネージャー

情報収集を続ける中で岩元氏が注目したのが、AI-OCRの技術だ。事務オペレーションを自動化するには、定型帳票(手書き文字含む)と非定型帳票を認識できなければいけない。AI-OCRは非定型帳票のタイプや手書きで書かれた文字について学習を重ねることで、高い精度で読み取ることができるようになる。岩元氏のチームではAI-OCRが業務に耐えるレベルまで引き上げられたと判断し、定型帳票を識別するAI-OCRエンジンと、非定型帳票を識別するAI-OCRエンジンを選定し、稼働に向けて累計数十万枚のサンプルデータを学習させて精度を高めている。
こうして定型帳票、非定型帳票のエンジンはそれぞれ選定したが、それだけでは業務の効率化が実現できないと考えていた。その理由は2つある。
ひとつは帳票の種別によって、読み込ませるAI-OCRエンジンを振り分ける仕組みがないことだ。同社はすでに紙の書類をスキャナーで読み込んでイメージ化するシステムを持っていたが、現状では人がイメージの中身を見ないと帳票の種別を判別することができない。
もうひとつはAI-OCRの精度は決して100%にならないことだ。100%の精度がないからといって人がすべて確認をしていたのでは業務を効率化できない。そこで同社は業界初となる定型・非定型帳票全体をAIの「確信度」で制御する仕組みを導入したいと考えていた。統計データをもとに項目ごとにAIがクリアするべき確信度を設定し、一定の確信度未満となったもののみを人が確認することで、効率的に高い精度を実現する。この一連の確信度の制御を行う仕組みが必要だった。


コストを抑え複雑な要件を満たすAI-OCR基盤をPFUが提案

そこで岩元氏は複数のベンダーに提案を依頼した。その中でPFUの提案が優れていたと岩元氏が語る。「我々は以前から様々な製品を幅広く調査していましたが、全ての課題を解決できる製品を見つけることができませんでした。PFUは複数のAI-OCRエンジンを制御するプラットフォームとしてABBYY FlexiCaptureというパッケージを選定し、コストを抑えつつ複雑な要件を満たす構成を提案してくれました」。
PFUが提案した構成では、複数のAI-OCRエンジンの処理を振り分け、処理の結果返ってきた確信度によって後続の処理を分岐する役割をABBYY FlexiCaptureが担う。また、内容の点検作業を自動化する後続のシステム(ルールエンジン等)に文字識別したデータを連携することで、岩元氏が当初から構想していた、システムへの入力作業だけではなく、内容の点検作業を合わせた形で自動化を実現させた。「PFUは事前調査の段階から相談にのってくれました。今回のような複雑な要件に対してどのように取り組むべきか、検証やデモを通して、具体的な実現案を提案してもらい、非常に助かりました」と岩元氏は語る。こうした点が評価され、PFUの提案が採用された。
導入や保守を担当するPFUエンジニアについても評価は高い。「今回難しかったのは、複数のベンダーの製品をいかに統合するかという点です。そのため、問題が起きたときにどの製品で吸収するかといった調整も大変だったのですが、PFUのエンジニアは、問題を一緒になって解決するスタンスで取り組んでくれたので、スムーズに進めることができました」。


業界初の確信度に基づく判断を担うプラットフォームが効率化のカギに

こうして2020年4月に一部についてトライアル運用を開始した。同社は、書類のイメージを読み込んでから、内容の点検作業まで自動で処理が終わる割合を「自動化率」と呼んでいる。この自動化率について4割を達成できる見込みだ。
今回、同社はAIが自信のない項目を確認する作業の担当チームを新たに立ち上げているが、立ち上げに必要な研修期間が圧倒的に短期間で済むという効果を岩元氏は実感している。「いろいろな書類を見て判断する点検作業は、知識と経験が必要で、習得までに数か月かかります。今回、知識と経験が必要だった内容の点検作業における人の判断をルールエンジンに置き換えたことで、AIが自信のない項目について見たままの文字を確認するだけでよくなり、スキルレス化できました。これにより、ピークや有事における応援体制の構築のハードルが下がったということと、他の業務に展開する時にも、短い時間で立ち上げることができると思います」。2022年10月には予定したすべての範囲の手続きが効率化される見通しだ。「今まで2人必要だった作業が1人で済むような業務量のイメージになるので、その分、人的リソースをより付加価値の高い業務へシフトしていく予定です。」と岩元氏は語る。
今後は、投資対効果が低いためシステム化が進みにくい少量多品種の業務についても順次自動化していく予定だ。「今回、低コストで横展開できる仕組みにしたので、少量多品種の業務についても対応しやすくなりました。個人保険事務以外の領域等からも声がかかっているため、今後自動化の範囲を広げられればと考えています」と岩元氏は締めくくった。

ABBYY FlexiCapture導入をワンストップで実現

FlexiCapture は、機械学習や自然言語処理を駆使したOCRエンジンを備え、自動化に求められる柔軟なワークフローを提供します。PFUでは、ABBYY FlexiCaptureを活用した事務処理の高度な自動化を実現するシステムの構築において、導入支援から運用保守までワンストップで提供します。お客様はペーパーレス化、デジタル化に取り組むにあたり、さまざまな課題を抱えています。PFUは状況に合わせた解決策をお客様と二人三脚で考え、解決していきます。


お客様概要

名称 第一生命保険株式会社
本社 東京都千代田区有楽町1-13-1
設立 1902年9月15日
資本金 600億円
URL https://www.dai-ichi-life.co.jp/
事業概要 100年以上にわたって生命保険事業を展開し、社会や顧客のニーズの変化に対応した商品・サービスを提供。健康診断書を契約時に提出するだけで保険料を割り引く制度「健診割」を業界初で導入した新商品「ジャスト」を販売する等、健康づくりのサポートにも取り組んでいる。