ScanSnap

スキャナーを使って記帳を自動化し効率化された時間で新サービス立ち上げに注力

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東京都中央区の「はぎぐち公認会計士・税理士事務所/株式会社HG&カンパニー」では、決算のために顧客から受け取る大量の領収書の仕訳入力(記帳)を大幅に自動化し、生産性を極限近くまで高めることに成功しています。その図式は、「ScanSnap」でスキャンした領収書を記帳代行自動化サービス「STREAMED」(株式会社クラビス)でデータ化し、会計ソフト「マネーフォワード クラウド会計」(株式会社マネーフォワード)に集約するというもの。会計事務所や税理士事務所の近未来を占う好事例として、具体的な運用方法をうかがいました。

目次

    紙の情報を、もっと自由に 情報整理に長けたスキャナーScanSnap

    記帳の自動化という"黒船"に乗ったら未来が見えた

    「はぎぐち公認会計士・税理士事務所」は、創業・スタートアップのサポートをはじめ、きめ細かいサービスに定評のある開業7年目の会計事務所。躍進のカギは、ITを積極的に取り入れた業務の効率化にあります。その強みを活かし、通常の会計事務所にはない経理のITコンサルティングサービスも提供しています。そして、ITツールの1つである会計ソフトの「マネーフォワード クラウド会計」には、インターネットバンキングやクレジットカードのWEB明細を取り込むことで半自動的に仕訳入力ができる、経営者と税理士がリアルタイムで共有しながら、当月の経営実績を確認できるといったさまざまなメリットがあり、いち早く導入した「はぎぐち公認会計士・税理士事務所」のサービスの中核をなしています。

    ただ、インターネットバンキング等のようなデジタルデータの取り込みは、マネーフォワード クラウド会計を利用することで効率化が図れるが、それでもなお領収書のような紙からの入力は残ります。この宿命的な手間を解消するのが、紙証憑(領収書や通帳のコピー等、記帳の元になる紙)の記帳自動化サービス「STREAMED」であり、「STREAMED」に領収書の画像データを送るために活躍する「ScanSnap」です。この三者の連携の実際を、代表取締役の萩口義治さんと、コンサルタント事業部の森田隆さんに詳しくうかがいましょう。

    マネーフォワード クラウド会計
    萩口先生

    「当事務所では現在120ほどの法人の顧客を抱えています。そのため領収書の数も膨大になり、全部を入力して仕訳するには、やはり膨大な時間と人的コストが必要になります。そこにマネーフォワード社から、領収書をスキャンしたPDFを送れば入力済み・仕訳済みのテキストファイル(csvファイル)にして送り返してくれるサービス『STREAMED』と、推奨スキャナーとして『ScanSnap』の紹介を受けました。『STREAMED』から返ってきたテキストを『マネーフォワード クラウド会計』に流し込めば記帳が完了するわけですから、『これで手間が省ける』と喜ばしく思うと同時に、記帳が自動化されると我々の仕事がなくなってしまうのではないか、という危機感も覚えました。それほどまでに"黒船"的なことだったのです」(萩口さん)

    それでも結局、萩口さんは「STREAMED」と「ScanSnap」の導入を早々に決断することになりました。自社の経理に試用してみたところ、圧倒的に便利だったからです。

    「それまで逐一入力していたものが、日付も金額も全部データ化されて飛んで返ってくるわけですから。『これは確かに楽だ』と納得せざるを得ませんでした。そして『時代がこういう方向に進むのは間違いないのだから、変におびえているよりは、黒船の先頭に立って旗を振ったほうがいい』と判断し、導入を決めました」(萩口さん)

    「同時に、我々はある種の"覚悟"を決めることもできました。私はよく、顧問料とは「①代行作業料+②アドバイス料(付加価値料)」だと言ってますが、そのうち記帳などの「代行作業料」部分はこれからも自動化されていくことは間違いないと思っています。そこで目指すべき方向は「付加価値部分」であろうと。つまり、「代行作業」の自動化と省力化によって空いた時間を活かして、「付加価値」サービスを開発して、顧客に新しい価値を提供していこうということです。これは"黒船"にあえて乗ってみたからこそできた判断であり、覚悟であるともいえます」(萩口さん)

    「付加価値」サービスの具体例としては、①財務コンサルティングとして、「融資獲得支援」や「ベンチャーキャピタルからの出資を受ける際の資本政策」や「補助金・助成金の獲得支援」などの他に、最近では、②経理のIT化コンサルティングや、そこから派生して会計事務所向けに事務所のIT活用促進のコンサルティングなどを進めております。「代行業務」の自動化と省力化によって「付加価値」業務に使える時間も大幅に増えてきました。また、かねて得意としていた創業・スタートアップのサポートや、補助金・助成金関係の情報提供や支援といったサービスのために割ける時間も大幅に増えたといいます。

    "製販分離"の方式でスキャンとデータ化を大きく効率化

    スキャンした領収書を送る先である「STREAMED」は、"紙証憑の記帳自動化サービス"です。画像データで受け取った領収書はAIで読み取った上でオペレーターの目によって確認と修正が加えられ(精度99.9%)、自動的に仕訳されます。入力済みのデータが戻ってくるまでに要する時間は1営業日以内と、かなりの早さです。

    STREAMED
    森田さん

    「現在は、領収書が1年分で2000枚、30000枚になるお客さまの分も、月次なら数枚というお客さまの分も、分け隔てなく『ScanSnap』でスキャンして『STREAMED』に送っています。導入当初はむしろ工程が増えるように感じられたため、少ない枚数の場合は手で入力することもあったのですが、むしろ全部をスキャンして送るほうが効率も上がるという萩口の判断によって、すべて行うことにしました」(森田さん)

    「領収書の枚数に応じて『人が行うのとITが行うのはどちらが速いか』だけを単純に考えると『入力したほうが速い』という判断もあり得ます。また、証憑の枚数を数え、スキャンする時間も発生してしまいます。ですが、業界も社会全体も人材不足が進む今となっては、『人かITか』という選択自体が成立しなくなることも十分に考えられます。ですから"人が増えないという前提"に立って事務所内でどこまで処理できるのかを考えると、とにかくスキャンして『STREAMED』に送って入力してもらい、1営業日以内に返してもらうことを進めたほうが、同じリソースでも入力量を最大化できるのではないかと考えられるようになりました。」(萩口さん)

    「そこで、いわゆる"製販分離"の考え方で、税理士としてお客さまに接する"販売チーム"とは別に、会計や税務を行わない従業員やパートの方による"製造チーム"を作りました。これを当事務所では「サポートチーム」と呼んでいます。そのチームの内、会計業務を行わない総務の職員が『ScanSnap』で領収書を文字通り"シュン、シュン"とスキャンしてくれています。そして『STREAMED』でテキスト化したら、領収書の原本はお客さまにすぐお返しする。お預かりした領収書をいつまでも保管しておくと、物量的に大変なことになってしまいますから。おかげさまで事務所内はいつも整理されており、見学会を開くと『かなりきれいな事務所ですね』と驚かれます」(萩口さん)

    「サポートチームがスキャンした画像データは私が一度目を通し、私自身がSTREAMEDへアップロードしています。専門外の人がスキャンするからということもありますが、スキャンする前に私が指示を出すことが多いので、そのチェックという意味合いが大きいですね。たとえば『先に勘定科目を決めてあるから、AとBの束を別々にスキャンしてください』といったような。そうしたチェック工程があるにしても、時間を考えればサポートチームにスキャンしてもらうほうが断然、効率的です」(森田さん)

    大活躍の「ScanSnap iX100」に加えて 「ScanSnap iX1500」も期待大

    さて、上記サービスを連携させるための入り口となるのが「ScanSnap」です。「はぎぐち公認会計士・税理士事務所」ではこれまで「ScanSnap iX500」を1台と、モバイルタイプの「iX100」を2台活用しており、領収書のスキャンには「iX100」が大活躍しているそうです。その理由と、このたび新しく導入したばかりの「ScanSnap1500」についてもうかがいましょう。

    萩口先生と森田さん

    「これまで、領収書のスキャンにはもっぱら『ScanSnap iX100』を使用してきました。スキャンするスピードからいえば『iX500』のほうが速いし、スキャン中は手を離すこともできるのですが、なにぶん領収書は薄い感熱紙だったり、折れていたり、必要以上に長細いものがあったりするので、1枚ずつ目で確認しながら通していくタイプの『iX100』が便利なのです。特にクレジット決済の領収書は、クレジット利用控の上に重ねてホチキス留めしてあるケースが多いので、重ねたまま流せる『iX100』は重宝しています。スキャン前にホチキスを外して、スキャン後にまた留めるという手間がかかりませんから」(森田さん)

    iX100でのスキャン

    それにしても、顧客から封筒に入れられてドサッと届く領収書の中には、紙のコンディションがかなり悪く、スキャンしにくいものもあるように思われます。スキャンにかかる時間にも影響するその点は、どのように解決しているのでしょうか。

    「当事務所では封筒のやり取りではなく、規格が共通したファイルをすべてのお客さまにお渡ししており、領収書が発生したらそのファイルに分けて入れてくださるよう、お願いをしています。ファイルは文房具店で売っている一般的なもので、こちらで項目のタブを付けてお渡しします。そうすると、お客さまご自身も整理しやすいため、ある程度は分けて入れてくださいますし、紙のコンディションも極端に悪いものは発生しにくくなります。そのファイルごとお預かりすれば、少し手を加えるだけでスキャンできるという仕組みです。スキャン後は同じファイルに戻してお返しすれば、お客さまが原本を保管するときも楽ですし、急な税務調査の際にも慌てずにすむことにもなります」(萩口さん)

    なるほど、素晴らしいアイデアです。入り口となるスキャン段階にスムーズに進むことは、以降の連携をスムーズにする秘訣の一つといえそうです。では、領収書スキャン以外で「ScanSnap」を活用するのはどういったケースでしょうか。その点もうかがいましょう。

    「『iX100』に関しては、ほとんどの職員が客先に持参しています。客先では『こういう書類が郵送されてきたが、どうすればよいか』といった相談を受けることがしばしばあります。そういうとき、以前は書類をお客さまにコピーしていただくか、原本をお預かりして後日郵送で返却するといった手間をかけていましたが、『iX100』があればその場でスキャンしてデータ化し、持ち帰ることができます。これは非常に便利な点ですね。お客さまが訪ねてこられたとき、応接室に持ち込んで使うこともあります。

    一方の『iX500』はA4の紙、たとえば年末調整の書類を100人分スキャンするといったときに大きな力を発揮します。ほかにも申請書、勤怠や請求といったもろもろに関わる書類はどうしても出てきますから、そういうときは『iX500』が便利です。

    当事務所では、各々が必要なときに『iX500』を各自の机に持っていってスキャンしているんですよ。据え置き型なので意外かもしれませんが、現実的にそう重いものでもありませんし、スキャン専用に一つの机をキープするよりよいだろうという判断に、自然になりましたね」(森田さん)

    事務所内のScanSnap

    「iX500」も「iX100」同様にWi-Fi接続が可能なので、それぞれのデスクで使うときにも必要なのは電源だけ。煩わしさがないので、そうした使い方も可能ということです。

    ところで、「新しく登場した「ScanSnap iX1500」は「iX500」をしのぐスピードと、使い勝手のよい新しいソフト「ScanSnap Home」が評判です。本格導入を控えたお二人の感想は?

    iX1500

    「スキャンがとにかく速いですね。書類や名刺を大量スキャンするときに『ScanSnap iX1500』が圧倒的な力を発揮するのは間違いありません。それに、『ScanSnap Home』はプロファイルを増設できる点がとてもよいと思いました。たとえばクライアントごとにプロファイルを作っておき、『iX100』でスキャンした領収書のデータをクライアント別に保存できるようにすることで、サポートチームの皆さんにはどんどんスキャンを進めてもらい、出来上がっているものを私が適宜チェック・修正してアップロードする、という体制が組めるかもしれません。そうなればサポートチームも私も時間的な自由度が高まって、効率がアップする可能性があります。これはぜひ試してみたいと思います」(森田さん)

    「そうした細かい工夫によって段取りとスキャンに要する時間を短縮できれば、『STREAMED』ひいては『マネーフォワード クラウド会計』の活用しやすさもさらに向上するでしょうし、コスト感もよりよくなっていくと思います。『ScanSnap』への期待は大きいですね」(萩口さん)

    「ScanSnap」から「STREAMED」へ、そして「マネーフォワード クラウド会計」へ。「ScanSnap」を入り口にしたスムーズな連携が、「はぎぐち公認会計士・税理士事務所」にさらなる飛躍をもたらすことでしょう。

    はぎぐち公認会計士・税理士事務所

    はぎぐち公認会計士・税理士事務所
    株式会社HG&カンパニー

    代表取締役 公認会計士 税理士 萩口義治様
    コンサルティング事業部 コンサルタント 森田 隆様

    ScanSnap_iX1600

    ScanSnap iX1600

    毎分40枚・80面の両面高速読み取りを実現し、簡単操作のタッチパネルを搭載。Wi-Fiの5GHzに対応し、原稿サイズ、色や両面・片面を自動的に判別。 驚くほど簡単、スピーディーに電子化します。
    ※記事中の「ScanSnap iX500」の後継モデルです。
    ScanSnap iX100

    ScanSnap iX100

    バッテリー・Wi-Fiを搭載しながら、わずか400gのコンパクトボディ。場所を選ばず原稿を電子化でき、手軽に情報の保管や共有が可能。

    この記事を書いた人

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