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東京の都市農家がScanSnap×freeeの連携でお金の流れをスムーズに把握。「脱・どんぶり勘定」で仕事と暮らしの安定感がアップ!|よしの園

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東京都三鷹市でキウイフルーツなどの作物を栽培する都市農家「よしの園」では、売上や経費の流れをしっかり把握するためにクラウド会計ソフトのfreeeを活用して大きな効果を得ましたが、複合機での証憑スキャンに手間がかかることが問題になっていました。それを解決するために同園ではScanSnap iX1600を導入、証憑のスキャンとfreeeへのアップロードをスムーズにし、いっそうの成果を上げています。その他の書類への応用例も含め、13代目の吉野均(よしの ひとし)さんに詳しいお話を聞きました。

目次

    紙の情報を、もっと自由に 情報整理に長けたスキャナーScanSnap

    1. 複合機をScanSnapに置き換えたら、スキャンにまつわる問題がすべて解決した

    ――商業施設が並ぶ幹線道路(東八道路)から少し奥に入った住宅地に、ミカンやキウイフルーツ、柿などを栽培する広い農地があるのは意外でした。

    三鷹市は都内でも農家が残っているほうです。もともと畑作が盛んで、昔は農地がもっと広がっていました。

    たわわに実ったキウイフルーツ。たくさんの車が行き交う幹線道路のすぐ近くに農地があります。

    ――よしの園は代々の農家とうかがいました。均さんで何代目でしょうか。

    13代目ですが、周辺には20代続いているお宅もありますので、このあたりでは驚くほど古いというわけでもありません。

    ――現在、三鷹市は都内随一のキウイフルーツ産地になっているとか。よしの園ではいつから作り始めたのでしょうか。

    1978年頃に湯河原(神奈川県)のミカン農家からキウイフルーツの存在を教えてもらい、やってみようということで始まりました。今では売上の90パーセントがキウイフルーツです。当園では最も一般的な緑色の「ヘイワード」、中心部が赤い「紅妃(こうひ)」、果肉が黄色い「東京ゴールド」の3品種を作っていて、ヘイワードがキウイフルーツの95パーセントを占めています。東京ゴールドは近くの小平市で偶然見つかった、東京生まれの品種です。

    ――農産物はどこで販売しているのでしょうか。

    キウイフルーツ、ミカン、柿、栗、ほぼすべてをお客様に直接販売しています。キウイフルーツは収穫が11月なのでお歳暮用としてご注文いただくケースが多いですね。都市農業の場合はお客様が近くにいることがメリットになっています。

    左が吉野均さん、右が12代目の弘司さん。

    贈答品としての人気も高い、よしの園のキウイフルーツ。収穫のほとんどを直売しています。

    直売所のキウイフルーツ自動販売機。

    ――よしの園ではクラウド会計ソフトのfreeeと連携させるため、1年前にScanSnap iX1600を導入されたとのこと。その目的を具体的にお聞かせください。

    当園は農家に多い個人事業主なので確定申告が必要です。そのため以前は領収書やレシート、請求書など経費の証憑を溜めておき、年に一回まとめて税理士さんに渡していました。ただ、それだと経費の合計金額はわかるものの、日々どのようにお金が動いているのかを把握できないので、いわゆる「どんぶり勘定」になりがちです。そうした状況から脱するため、会計ソフトを使って帳簿をしっかりつけようという話になりました。

    そこで会計ソフトを探したところ、どこにいてもスマートフォンで確認や登録ができるクラウド会計ソフトに魅力を感じ、3年前にfreeeを導入しました。これによって経費と売上の動きをリアルタイムで把握できるようになり、どんぶり勘定からの脱却を果たすことができました。ところが一方で、紙の領収書やレシートなどをスキャンしてデータ化する作業を複合機で行っていたので非常に手間がかかり、新たな悩みの種になりました。これを解決するために導入したのがScanSnapです。

    ――領収書やレシートのスキャンは、freeeに登録する仕訳に対して証憑のイメージデータを紐付けるために欠かせない作業ですね。具体的にはどのようにスキャンしていましたか。

    レシートなど小さい証憑が多いのでドキュメントフィーダーは使わず、1枚ずつガラス面に置いてスキャンし、余白の大きなA4やB5の定型でデータにしていました。また、freeeのファイルボックスにアップできるデータ形式はJPEGですが、その複合機で生成できるのはPDFファイルのみです。そのため、スキャンのたびにいくつかの手順を踏んでデータを整えていました。

    ――スキャン後にPDFファイルを開いて確認したらJPEG形式で保存し、定型より小さい証憑の場合は画像編集ソフトを立ち上げて余白をトリミングしてからfreeeへ、という手順でしょうか。

    そうです。この作業がかなりの手間でした。

    なお、freeeではスマートフォンで撮影した証憑のJPEG画像をファイルボックスにアップすることもできます。これは複合機に比べれば便利ですが、やってみると撮影時の調光が難しく、影が出る、シワが寄るなどの課題もありました。

    紙の証憑をスキャンしてイメージデータ化し、freeeのファイルボックスにアップします。複合機を使っていた頃はスキャン作業に大きな手間がかかっていました。

    ――それがScanSnapの導入によって、どう変化しましたか。

    セットした証憑をスキャンして自動で送ってくれる、証憑のサイズや形の通りに切り出してくれる、データのファイル形式を指定できるというように、基本的な機能だけで問題が全部解決してしまいました。

    PCを立ち上げることなくスキャンできる機能も素晴らしいと思います。ScanSnapを開いて紙をセットしてボタンを押すだけでfreeeのファイルボックスにデータが直送されるので、本当に手軽です。ScanSnapのおかげでfreeeをさらに活用しやすくなりました。

    吉野さんが導入したScanSnap iX1600。タッチパネルを備え、毎分40枚(A4サイズ)のスピードでスキャンします。名刺・レシートガイドを活用すると、小さいレシートなどもスムーズにスキャンできます。

    ――ScanSnapを選んだのには何かきっかけがあったのでしょうか。

    InstagramでScanSnapを使って書類をどんどんスキャンしている動画を見てびっくりし、これができたらいいだろうなと思ったのがきっかけです。そのあとYouTubeでもScanSnapを写真整理に活用している動画を見て、購入しようと決めました。ScanSnap iX1600を選んだのはタッチパネルで操作できるところに魅力を感じたからです。

    ――最初に動かしてみたとき、これならいけるという感触はありましたか。

    ありましたね。それに使っていくうち、だんだん自分のやりたいことにフィットしてくるという感覚も抱きました。

    2. 証憑イメージデータをScanSnapからPCレスでfreeeに直送。登録作業もスムーズに

    ――ScanSnapで証憑をスキャンしてfreeeに連携するまでの具体的なフローをうかがいます。まず、どのような場合に経費の証憑が発生するのかを教えてください。

    いちばん多いのは、道具や作業着など身の回りのものを買ったときの領収書やレシートと、JAから肥料や資材を購入したときの証憑です。これらは農産物を育てている間、まんべんなく発生します。

    ――証憑にはさまざまなサイズがあるのでしょうか。

    そうですね、A4もあれば細長いレシートなどもあります。またJAの場合、購入時の現金払いではなく月末引き落としなので、月間の購入金額と引き落とし日を通知するハガキが届きます。これを証憑としてスキャンし、freee上で該当する引き落としの取引に紐付けることになります。

    ――請求書が届くケースもあるのでしょうか。

    販促物の制作をクリエイターの方に依頼する、リーフレットを増刷するといったときには請求書が届きます。領収書がない場合も、請求書をスキャンして該当する振込の取引に紐付けます。

    イラストレーターにイラストを発注する、商品に同梱するリーフレットを制作するなど、直売に特有の経費も発生します。

    ――それらの証憑は発生するたびにスキャンするのでしょうか。また、画像データはScanSnapと各種クラウドサービスを直結するScanSnap Cloudを活用してfreeeのファイルボックスにアップしているのでしょうか。

    そうしています。ScanSnap iX1600はよく使うスキャン設定をプロファイルとして保存できるので、JPEGのファイルをfreeeに直送する「freeeに保存」というボタンを作ってあります。仕事から戻ったらScanSnapに証憑をセットして、そのボタンを押すだけでスキャンとfreeeへのアップが完了します。ScanSnapは起動が速く、PCを立ち上げる必要もないので、何のストレスもありません。

    タッチパネルには「freeeに保存」「JA書類→PDF」「習い事」「子ども写真」など、吉野さんが作ったプロファイルのボタンが並んでいます。

    その日に発生した証憑をScanSnapにセットして「freeeに保存」のボタンを押すだけでスキャンとfreeeへのアップが完了します。

    ScanSnap Cloudを経由してfreeeのファイルボックスに直接アップロードされた証憑イメージデータ。

    ――freeeにアップしたら登録もその都度行っていますか。

    その都度ではなく、都合のよいときに登録しています。ファイルボックスにデータが入ると、freeeのスマホアプリに通知が出て未処理の証憑データが何枚あるかがわかるようになっています。それを見て「そろそろやるか」と思ったらPCかスマートフォンを開き、勘定科目をつけ、金額を確認し、必要があればメモを入れて、という具合に処理していきます。複合機の頃はスキャンが億劫で領収書を長く溜めてしまい、何の買い物か思い出せないこともありましたが、今ではそれもなくなりました。

    証憑のイメージデータを見ながら仕訳を登録していきます。スマートフォンでも処理が可能です。

    スマートフォンでも登録できるのはクラウド会計ソフトの大きなメリットだと思います。農家なのでいつもPCの前にいるわけではないし、畑でいきなり気になることもあります。そういうとき、イメージデータがアップされていれば休憩中に処理できるので本当に便利です。その上ScanSnapの導入でスキャンにかかる時間が大きく削減されたので、全体的にノンストレスで運用できるようになりました。

    ――freee登録したデータはどのように活用していますか。また、freeeとScanSnapの導入によってどのような効果が得られましたか。

    freeeで出力した仕訳帳のデータを税理士さんと共有しています。freeeやScanSnapを活用することで、売上や経費の流れが見えるようになりました。それによって、たとえば農業機械などの大きな買い物をするときも「今はタイミングではないな、来年にしよう」といった判断が可能になりました。

    ――スキャン後の証憑原本は破棄していますか。

    税理士さんと相談し、現在はまだ保管しています。今後は電帳法「スキャナ保存制度」の活用も検討したいと思っています。

    ――農家にとって、freeeやScanSnapによるデジタル化にはどのような意味があると思われますか。

    農家は自然を相手にしているので、人間の都合をなかなか優先させられません。「どうしても今、このタイミングでやらなければ」ということが多々発生するので、経理のようなバックオフィス業務はどうしても後回しになってしまいます。でも自分たちが汗をかいた仕事の結果は、売上・経費・利益というお金の形をとって現れますから、しっかりと見るべきでしょう。単なる労働者ではなく、経営者としての視点も大切です。そのお金の流れを可視化してくれるのが、freeeやScanSnapのようなデジタルのサービスや機器だと思います。

    今はスマート農業といって、トラクターの自動運転やドローンによる農薬の自動散布、環境制御型ハウスなど、農業の世界でも高度なデジタル化が進んでいます。もちろん個人の農家ではなかなかそこまではできませんが、手の届くところからデジタル化していけばよいと思いますし、それだけの効果はあるはずです。

    日々の作業に追われがちな農家にとって、身近なデジタル化は有効と考えられます。

    3. 子どもの写真やJAの資料などもスキャン。もう以前の生活には戻れない!

    ――freeeへのアップ以外の目的で書類などをスキャンすることはありますか。

    書類ではJA関連の資料や、子どもの学校や習い事関連のプリント、アレルギーを持っている子の検査結果などをスキャンしています。医療関係の書類は基本的に紙で受け取るので、スキャンはすごく有効だと思いますね。書類はファイル形式をPDFにし、スキャン後にScanSnap Cloud経由でMicrosoft OneDriveに直送してスマートフォンでいつでも確認できるようにしています。

    ――書類のスキャンに関して、ScanSnapならではのメリットはありますか。

    たとえばA4用紙の長辺をステープラーで綴じた、上にめくるタイプの資料の場合、両面印刷だと紙の表と裏で天地が逆になっています。これを複合機のドキュメントフィーダーでスキャンすると、PDFは1ページおきに逆さまになりますよね。ところがScanSnapの場合、書類の文字を認識してページが正立するよう補正してくれますし、資料の途中や最後などに白紙のページがあれば削除してくれるので、資料の全ページがスライドのようにきれいに並びます。ScanSnapの「向き補正機能」という基本機能とのことですが、これは本当にすごいと思います。

    ――資料をスキャンしておけばデータで見返すこともできますね。

    それもできますし、なによりバックアップとしての意味が大きいと感じています。ScanSnapなら手軽にスキャンできるので、どんどんデータでバックアップでき、安心感が高まります。補助金の申請書など手元から離れていく書類も、以前は紙のコピーを取っていましたが、今は押印まで済ませたものをスキャンしてデータで保存しています。

    あとは、学校から購入する子どもの写真もよくスキャンして、書類と同じようにスマートフォンで見られるようにしています。

    ――学校の写真はデータではなく紙焼きなのですね。

    今はデータ流出の心配があるということで、子どもが通っている学校では紙焼きでの配布を採用しています。データで購入できれば何の問題もないのですが、紙焼きだと封筒に入れたまま放っておくことが多く、「買って終わり」になってしまいがちです。そこで紙焼き写真をScanSnapでスキャンしてフォルダーに分けて保存し、スマートフォンで見られるようにしています。

    ――ScanSnapの場合、写真は高画質のスーパーファインで読み取るのがデフォルトですから、きれいに読み取れますね。

    ええ、スマートフォンで見てもきれいです。

    紙焼き写真もScanSnapでスキャンしておけば、スマートフォンでいつでも見られるようになります。

    ――名刺のスキャンもしていますか。

    しています。ScanSnapで名刺をスキャンし、名刺管理アプリのmyBridgeに連携させています。

    ――主目的のfreee連携のほかにも、かなり積極的にScanSnapを活用されているのですね。

    ええ、もうScanSnapのない生活には戻れません。複合機で苦労してスキャンしていたのは何だったのだろうと思いますね。

    「ScanSnapのない生活には戻れません」と吉野さん。

    ――今後スキャンしていきたい書類はありますか。

    やはり子ども関係でいろいろ出てくるのではないかなと思っています。私の仕事部屋に置いているため妻がまだあまり使っていないので、もう1台購入してリビングに置き、家庭専用にするのもよいかもしれません。

    ――今後もお仕事や生活にScanSnapをお役立ていただければ幸いです。本日は詳しくお聞かせくださり、ありがとうございました。

    ScanSnap_iX1600

    ScanSnap iX1600

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    この記事を書いた人

    農園 よしの園

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    キウイフルーツを中心に、柿、ミカン、栗などを生産・販売する東京都三鷹市の農園。東京都GAP認証取得。

    yoshinoen
    取材協力

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