次世代リーダーたちが描く企業の未来とは?~PFU、新規事業創出に向け『未踏プロジェクト』を実施~(第二回)

あらゆるモノ・コトがデータ化され、社会が急速に変化する中、PFU では、次世代のリーダーたちが 未来のPFUのあるべき姿を描く『未踏プロジェクト』を実施した。
今回は、その参加メンバーの中から4名に、プロジェクトを振り返って、参加時の想いやその後の状況について語ってもらった。
プロジェクト終了後のアンケートでは、15名全員が、自身の変化や気づきがあったと回答している。いずれも前向きな回答ではあるが、日頃の仕事に対する⼼構えが変わった、知⾒が広がった、他部⾨との連携の重要性を感じたなど、影響の受け方は様々であった。

※記事中に記載のある『未踏プロジェクト』は、現在は終了しています。

相手に刺激を与える存在になりたい
(SE 堀河さん)

堀河さんは、SEとして顧客先にいることが多かったことから、参加メンバーは初対面ばかりだった。共にアイデアを練り上げていく中で、他部門のメンバーの自分にない考えや技術力に刺激を受けたという。

Q:仕事柄、他部門の方と話す機会はあまりなかったと思うのですが、異なる部門のメンバーとの活動はいかがでしたか

一番感じたのは、部門が異なるといろいろな意見があるということですね。他部門にはすごい技術を持った人や発想豊かな考え方を持つ人がいるのだと知ることができたのが一番大きな収穫でした。そんな自分とは異なるバックグラウンドや意見を持った人たちと会話するとまったく新しいアイデアが生まれると気づいて、刺激を受けました。

僕は開発者2人と営業とSEのチームで、介護分野においてPFUが提供できる価値やアイデアについて検討しました。PFUの画像処理技術やエッジコンピューティング技術などを応用した介護支援を実現するシステムを提供することで、介護施設の職員と入居者の双方を幸せにすることができるのではということを考えました。そこにたどり着くまでには、多様な意見やアイデアを出し合いましたが、介護を受ける人を幸せにするには、介護する側も幸せにしないといけないと気づき、介護に携わる人たちを助けるシステムというコンセプトで形にしました。

Q:未踏プロジェクト終了後もそうした方々との交流はあるのですか

未踏プロジェクトの中で成し遂げられなかったことがあったので、チームメンバーとは2回ほど振り返りをしました。せっかくよいアイデアを出したのだから、成功するかわからないし形になるかもわからないけど、アイデアの実現に向けた活動を続けようと話しています。役員とのディスカッションで、実際に介護の現場を見て考えたほうがもっとよいものができる、見てないでしょ、という意見を頂いたのですが、その通りだったので、みんなで介護施設を見に行こうという計画もしています。

Q:チームメンバーとは活動を続けていくとのことですが、ご自身としては未踏プロジェクトの経験をどう活かしていきたいですか

今やっている業務に加えて、未来を考えるようなこともやっていきたいです。PFUの自社製品についてはもちろん知っていますが、それを作った人たちの苦労や、どうやってそれが生まれてきたのかという歴史などについてはあまり知らずに過ごしてきました。もっとPFUのことを知って、よいところを外にアピールしていきたいです。SEですが、営業の役割もするような感じですね。そうして、自分自身の成長とともにPFUも成長させていきたいと思っています。知り合ったメンバーとの人脈を活かして、社会やお客様、PFUに貢献していきたいです。

高まるヒット商品企画への想い
(商品企画 木谷さん)

木谷さんは商品企画部で主にセキュリティ製品のプロモーションなどを担当している。未踏プロジェクトの活動を通して、顧客視点で考えることの大切さを再認識したという。

Q:今回の「ヘルスケア」というテーマは、取り組んでみていかがでしたか

今までやったことがないテーマだったので、知識がなくて、結構大変でしたね。マーケティング経験があったので、どういった観点で調査すればよいのかはわかっていたのですが、テーマが難しい分苦労しました。でも、いろいろ調べていく中で、こういった分野でもセキュリティが関係するということ、5GやIoTのような身近なテーマに紐づく部分もあるということがわかり、業務的な知見も広がったのはよかったです。

Q:未踏プロジェクトを通して得たもの、気づきなどについて教えてください

顧客視点での商品企画が一番大事だということを再認識できました。今、ものができあがったあとに売り方を考えるというところが多いですが、そうではなくて、まず顧客目線でものを作らないといけないということを感じましたね。

顧客視点のマインドは、もっと現場レベルで、若手のうちから意識させるのがよいと思いますし、それを取り入れながらものづくりをしていく重要性を、もっと浸透すべきだと思っています。その辺も含めて、自部門のメンバーには未踏プロジェクトの活動内容をフィードバックしていました。

Q:フィードバックというのはどのように行っていたのですか

ワークショップの資料や自分の成果物を見せながら、いわばプチ未踏プロジェクトのような感じでやっていましたね。プロモーションという立場から、未踏プロジェクトで学んだ考え方や、調査の手法や観点なども、業務に使えるなと思ったのでフィードバックしました。関心を持ったメンバーや企画をやってみたいというメンバーも出てきたので、よかったと思っています。

Q:今後、学んだことをどのように活かしていきたいですか

未踏プロジェクトがきっかけで、ヒットするような商品を企画したいという想いが強くなりました。春に、企画をする部署に異動になったので、今回得た経験や知識も活かして、自分で何か立ち上げるくらいの挑戦がしたいです。
未踏プロジェクトの参加メンバーの中には、考えたアイデアを実現するために異動した人もいます。想いのある人が企画を遂行しないとビジネスが成り立たないので、やるならそこまでの覚悟を持ってやらないと意味がないと思います。自分もそのくらい本気でやりたいという想いが芽生えました。

本気でチャレンジしたいことを見つけた
(営業 大坂さん)

大坂さんは、未踏プロジェクト参加当時は営業だった。このプロジェクトをきっかけに本気でチャレンジしたいことを見つけ、現在は新規事業創出に携わる部署に異動して奮闘しているという。

Q:参加メンバーに決まったときはどのような想いでしたか

実は、業務が忙しかったこともあり、最初は乗り気ではなかったです。このときは、新規事業創出というのはまったく頭にありませんでした。

Q:実際に未踏プロジェクトに参加していかがでしたか

ワークショップ自体は全体的に楽しかったです。ただ、それに向けて、調査したり準備したりするところは結構大変でした。
取り組みたいアイデアが見つかってからは、一気にスイッチが入ったというか、その調査や活動に無我夢中でした。

Q:未踏プロジェクトを通して何を得ましたか

このプロジェクトを通じて仕事自体を変える行動に移したので、得たものはかなり大きかったですね。会社の未来を考える、新しいことを生み出すということは、これまであまり考えてこなかったですし、今回こういうプロジェクトを通して、手法を学んで、新規事業のアイデアをしっかり形にするところまでできたのはすごくよかったと思います。

Q:未踏プロジェクトを機に異動していますが、一番のトリガーは何でしたか

形にしたアイデアをもとに、サービスを実際に立ち上げたいと思ったところです。
でも、営業にやりがいを感じていましたし、自分が抜けることで残った人たちの負荷が高くなるのは事実なので、異動については随分悩みました。営業を続けながらできないかとも考えたのですが、やりたいサービスは営業の仕事ではないので両立は難しいと感じていました。役員から、もしチャレンジするなら、新規事業に取り組んでいく部門があるからそこに異動してやったほうがよいのでは?という後押しを頂いたことで、決心しました。
異動できたのは、統括部長をはじめ、同じお客様を担当していた営業のメンバーみんなの応援があったからなので、そこはとても感謝しています。
チャレンジしたい人が本当にやりたいことにチャレンジできるような環境や制度をもっと活性化させたいです。こういうことをやりたい、そのために異動したいというのは、本人の強い意思がないと実現は難しいと思っています。自分に異動の経緯やきっかけを聞いてくる人もいますし、少しずつ周りに影響を与えられたら嬉しいですね。

Q:未踏プロジェクトを通して、大切だと思ったことはありますか

業務は忙しいけれど、何かに挑戦していくという気持ちは大事だと思いました。少しでもよいので、チャレンジする気持ちを常に持っていられたら、普段の仕事の中の取り組み方も違ってくると思います。
PFUがさらに元気になっていろんなことにチャレンジしていける風土づくり、社員が幸せに働けるような環境づくりを自分なりにやっていきたいです。

新規事業を生み出す人が活躍できるしくみや環境を作る
(法務 長谷さん)

長谷さんは法務部所属。普段の業務は、コンプライアンスやリスクマネジメントの対応などで、新規事業創出とは縁遠い気がする。未踏プロジェクトにはどのような気持ちで臨んだのだろうか。

Q:メンバーに選ばれたときの率直な思いを聞かせてください

新しい事業を考えるという点では、自分は法務部に所属しており、普段の役割は新しい事業の内容が法規制を逸脱するものであればブレーキをかけることなので、参画メンバーとして自分は相応しいのだろうかと思っていました。

Q:そのような思いの中、未踏プロジェクトが始まってどうでしたか

やはり普段から企画や開発に携わっているメンバーは、自由で新しいアイデアをどんどん出してくるので、そこは自分にはなくて、非常に頼もしく感じました。
すごく元気で、バイタリティがあって、仕事に対するやる気のあるメンバーが、社内にたくさんいることを今回再認識できたので、この人脈を大切にしたいと思います。

Q:未踏プロジェクトを通して得たもの、気づきなどについて教えてください

情報に対するアンテナが高くなりました。テクノロジーに関する情報をチェックするようになりました。そこはすごく変わったと思います。
また、未踏プロジェクトは普段の業務を離れてPFUの将来を考える機会となりました。5年後、10年後の当社の状況を考えることを通じて、新しいビジネスにチャレンジする必要性や、逆にチャレンジしないことのリスクを実感しました。また、新規事業創出の難しさにも触れることができたため、逆に既存ドメインをさらに磨くことがいかに当社にとって重要なのかも再認識できました。世界的なシェアを有する製品を持っていることは当社の明らかな強みです。今あるスキャナーやセキュリティなどを題材として未踏プロジェクトのような部門横断的なアイデア創出の場を考えていくことも面白いと思います。

Q:今後、学んだことをどのようにしていきたいですか

未踏プロジェクトを通じて、10年後の当社は経営環境が大きく変わっており、ちょうど自分たちの世代が担っていく危機意識を感じました。「誰かがやってくる」「誰かが考えてくれる」ではなく、今から自分たちの世代が自分事として動くことが大切です。会社には新規事業の創出にチャレンジする社員も必要ですし、彼らが活躍できるように、活躍できるような会社のしくみや環境を整備する人間も同じくらい必要です。自分にできるところから会社に貢献していきたいです。

事務局を担当して

未踏プロジェクトの事務局として、企画から運営とサポートを担当した戦略推進部の小野田さんにも話を伺った。

Q:入社6年目ということですが、このプロジェクトを任されたときの想いはいかがでしたか

このような大きなプロジェクトの企画、運営の経験は少なく、上司からこの話を聞いた当初は不安もありました。
運営を進めていく中で、「PFUの未来を社員にこそ考えてほしい」という経営層の期待に応えようと頑張る皆さんの情熱を間近で感じて、このプロジェクトを成功させたいという想いが日に日に強くなりました。

Q:主催者、事務局として、成果はどうでしたか

参加者の皆さんに、今後に向けて、自ら調査し未来を予測するやり方や考え方を身につけて欲しいという意図で「未来洞察プログラム」を採用しました。テーマ選定や最終回の開催形式については、富士通総研の方と何度も打合せを重ねて決めたのですが、PFUに合ったよい形にできたと思っています。参加者全員に意識変革を与えられたのはひとつの成果だと思います。
また、PFU社員にはこんな熱意ある方々がいるのだとわかってよかったです。

情熱の炎は燃え続ける

未踏プロジェクトの参加メンバーは、PFUの未来を考えたり、新規事業創出の手法を学んだりしただけでなく、この活動を通して、普段から未来を見据えて物事を考えるようになったり、仕事に対する心構えや考え方、働き方などについてもあらためて考えるようになったりしている。
アイデアを実現する活動を続けている人、未踏プロジェクトで得た知識、手法、気づきなどを自部門のメンバーに伝え広める人、業務に活用している人もおり、プロジェクトが終わっても、情熱の炎は燃え続けている。
未踏プロジェクトのメンバーには、これからもPFUの将来を考えることや新規事業の創出への取組み、組織間の壁を越えた活動を通じて、PFU全体が活性化していくことに期待したい。

PFUでは、こうした新規事業の創出や新たなことにチャレンジする活動を今後も推進していく予定だ。

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