仕事の効率をアップする適切な書類の整理とは?3つの視点でアイデアを紹介

デスク周りに乱雑に書類を重ねておくと、必要なときに必要なものが探し出せず、作業効率が低下します。そうならないために、書類の適切な管理が重要になります。ファイルやフォルダー、キャビネットなどで紙の書類を整理することやスキャナーを使ってペーパーレス化を進めることで、業務効率の改善を実現することは「働き方改革」にもつながります。ここでは、書類を整理するための具体的なアイデアをご紹介します。

書類の整理はなぜ必要?

業務スペースを整理整頓することでさまざまな効果が得られます。ここでは主な効果を3つご紹介します。

作業効率のアップ

コクヨの調査によると、平均的なビジネスマンが1年間に探し物に費やす時間は80時間だそうです。年間の勤労日数を240日とした場合、1日あたり20分もの時間を無駄に費やしていることになります。当然のことですが、書類の整理をすることで、これらの時間を削減することができれば業務効率をアップさせることができます。

仕事の優先順位をつけやすい

書類の整理により、仕事の優先順位がつけやすくなります。例えば、使用頻度の高い書類や進行中の仕事を引き出しの手前側、緊急性・重要性の低い書類を奥の方に収納するなどの方法があります。こうすることで、おのずと仕事の優先順位を意識して整頓するようになります。また、保管の必要がない書類を処分したり、書庫にファイリングし、手元に必要な書類だけを残したりすることで、やらなければならない仕事がクリアになります。これを続けることで、書類整理と仕事の優先順位づけの両方を意識した業務が行えるようになります。

セキュリティリスク低減

一般財団法人日本情報経済社会推進協会が公表している(平成29年度)「個人情報の取扱いにおける事故報告にみる傾向と注意点」によると、協会に報告された盗難・紛失の事故件数507件のうち246件が書類の紛失であり、事故全体の48.5%を占めています。紙面での重要書類は、PCデータのようなものと異なり暗号化やパスワードのロックができないため、悪意の第三者に渡った場合には重大な二次被害を引き起こすリスクがあり、企業の存続にも関わる重大なリスクにつながる危険性があります。

作業効率をアップさせる書類整理の3つの視点

書類整理の考え方、紙の書類の整理方法、ペーパーレス化の3つの視点で、書類整理の具体的なアイデアをご紹介します。

アイデア1「いらないものは捨てる」

デスクの整理の最も基本となるのは、不要なものを捨てることです。頭では分かっていてもなかなか実行が難しいことではありますが、ルールを明確にすることにより不要な書類を処分できるようになります。

  • 不要なものだけ適切に処分し、必要なものだけ残す

    デスクをきれいに整理するには、まず必要性の有無を分けることです。書類を一枚一枚確認して、保管が必要なものか処分してもいいものかをチェックしましょう。不要な書類が処分されて必要な書類だけ手元に残れば、書類を探す時間を短縮できますし、紛失リスクも軽減できます。

  • 今のところ使う可能性のないものはどうするか

    必要なものか不要なものかの判断がつきにくい書類もあると思います。こうした書類は、いったん段ボールや普段使用しない書庫にまとめて、期限付きで保管をすることをおすすめします。一定期間必要がなければそのあとも必要のない可能性が高いので、あらかじめ処分の期日を目立つように明記して判断の先延ばしを避けましょう。

  • 不要な書類を増やさないためには?

    不要な書類を増やさないためには、日常の意識が重要です。不要な書類をため込んでしまわないように、必要がなくなったらすぐに処分を心掛けることや、PC上で確認できるデータをむやみにプリントアウトしないこと、書類を置く場所を決めておくことなど、ルール化して意識するといいでしょう。

アイデア2「ファイルを使った紙の書類の整理方法」

紙の書類を整理するには、ファイル、ファイルボックス、キャビネットなどを使うと効果的です。具体的な運用方法やコツをご紹介します。

  • 項目ごとに分ける

    書類を、仕事の内容やクライアントごとなど項目別に分けることで、書類を探す時間を短縮でき、紛失のリスクを減らすことができます。また、納期で分類することによって、仕事の漏れを防ぐ効果も期待できます。保管スペースや書類の量によって、クリアファイルやファイルボックスに分類して整理しましょう。整理した書類は、優先順位に応じてキャビネットや書庫に収納しましょう。

  • 分かりやすいインデックスをつける

    ファイリングする際には、分かりやすいインデックスをつけると効果的です。インデックスがついていることで、ファイルのページをすべて確認しなくても、必要な書類を探し出すことができます。また、むやみに書類を探すことがなくなるため、書類を探しながらさらにデスクが散らかるといった悪循環を避けることができます。

  • 平積みにしないで立てておく

    デスクの上に書類を保管する際に、平積みにすると書類が山積みになりやすくなります。また、書類を探す際に、一枚一枚書類を手に取って確認しなければならなくなり、作業効率が悪くなります。クリアファイルやバインダーを用いて、書類を立てて保管する習慣をつけましょう。

アイデア3「スキャナーによる電子管理でペーパーレス化」

データ化できるものはPDF形式にデータ化することで、整理整頓、効率アップ、セキュリティリスク低減、コスト削減につなげることができます。e-文書法や電子帳簿保存法により、かつては紙での保存が義務付けられていた国税関係書類のような法定保存文書も電子データで保管することが認められていますので、かなり広い範囲で電子管理化することも可能です。電子化した書類は、バックアップ性や安全性に優れたクラウドサービスといったものを活用することで、消失リスクをケアしておけば安全性も高められます。

  • スキャンすべき対象のものをすべてスキャンしたか確認する

    電子データとして残す場合、紙の書面は処分が基本となります。従って、スキャンの漏れがあれば書類の紛失につながってしまいます。例えば、タイムカードや賃金台帳などの労働管理関係の書類でスキャンの漏れがあった場合には紛失とみなされ、これらの書類には3年間の保管義務があり罰則規定が設けられていますので、将来万が一裁判になった際に罰金が生じてしまうリスクがあります。

  • スキャンしたものが適切にデータとして認識されているか確認する

    データとして保存したつもりでも、中身が破損してしまっていたり、業務で使用しているPCで表示できなかったりすると意味がありません。スキャンしたデータが適切に保存できているか否か、実際にファイルを開いたりプレビュー画面を活用したりして確認しましょう。

  • スキャンデータが適切なカテゴリーに収まっているか確認する

    紙の書類と同様、電子化したデータも誰が見ても、どこにデータが収納されているかを分かるようにしておくことが重要です。社内でデータの保存場所についてのルールを制定し、分かりやすいフォルダー名、ファイル名称を使用しましょう。データ化する際に、OCRの機能を活用すればファイル名だけではなく文書の内容からも検索ができるのでさらに利便性が高まります。

書類の管理によって「働き方改革」も目指す

書類を適切に整理することで、デスク周りやオフィス全体がきれいに整頓されるので、書類を探す手間や時間が軽減でき、作業効率の向上も期待できます。一度仕組みを構築し、ルールを守った運用を進めることで、個人だけでなく組織全体で業務効率が向上します。また最近は、ペーパーレス化を推進することで、業務効率化だけでなくコスト削減や働き方改革までを目指す取り組みも進んでいます。さまざまな書類整理術を活用し、快適で効率的な業務が可能になるオフィス環境をつくりましょう。

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