1. 導入事例
2022.9.8

寄付金の受付・入金登録業務で作業効率が大幅アップ!
払込取扱票のOCRで寄付情報を自動抽出、手入力が減り確認も効率的に

日本赤十字社東京都支部のエントランス前の高橋さん、竹松さん、笠井さん

日本赤十字社 東京都支部 振興部 振興課
竹松美沙さん(中央)、笠井亜沙美さん(右)、髙橋郁弥さん(左)。
日本赤十字社 東京都支部(東京都新宿区)にて。

日本赤十字社 東京都支部 振興部 振興課
竹松美沙さん(中央)、笠井亜沙美さん(右)、髙橋郁弥さん(左)。
日本赤十字社 東京都支部(東京都新宿区)にて。

日本赤十字社 東京都支部では、個人の皆様や企業から寄せられた寄付を財源として、災害時の医療救護活動や復興支援、地域の防災普及、青少年赤十字活動といった幅広い分野で事業を展開しています。以前は寄付者様から届く払込取扱票の入力作業に多くの時間が割かれていましたが、PFUの業務用スキャナー「fi-7600」を導入することで、寄付情報の入力業務を効率化。作業時間短縮と職員の負担軽減を実現しました。日本赤十字社 東京都支部 振興部 振興課を訪ね、具体的な活用方法などをうかがいました。

日本赤十字社 東京都支部
振興部 振興課

業種:認可法人

課題
一定期間に集中して届く大量の払込取扱票の項目を、システムに手作業で1件ずつ入力するのに手間と時間がかかっていた。
解決法
PFUの A3高速スキャナー「fi-7600」を導入し、払込取扱票のOCRを開始。コード番号や金額を自動抽出し、管理システムに一括登録。
効果
払込取扱票の入力時間が繁忙期には1日3時間短縮され、寄付者様への御礼と領収証の発送がよりスムーズに。

1. 手間のかかる手入力を改善するためスキャナーを導入

振興部 振興課 個人社員係長の竹松さんにうかがいます。日本赤十字社 東京都支部の活動内容について教えてください。

竹松さん東京都支部では、災害救護を中心に様々な活動を行っており、その活動にかかる資金は多くの皆様からのご寄付で成り立っています。皆様からお寄せいただいた寄付金は、災害現場などに医療チームを派遣して行う医療救護活動やこころのケア、毛布などの救援物資の配付に活用しています。また、その後の復興支援、防災にも力を入れています。

東京都支部の活動について話す竹松さん

振興課の業務全体を取りまとめる竹松さん。

担当業務について話す高橋さん

東京都支部での活動内容チラシや発送先リストの作成などを担当する髙橋さん。

災害救護活動など様々な活動を行っているのですね。振興課では具体的にどのような業務を行っているのでしょうか?

竹松さん振興部は寄付金募集業務を担当する部署で、そのなかで振興課は、主に個人の皆様や企業からのご寄付を受け付けしています。
ご寄付を募る方法としては、インターネット上でクレジットカード決済をする方法や、コンビニや銀行からの振込などもあるのですが、最も多い方法は郵便局からの「払込取扱票(振込通知書)」を使用した振込になります。日本赤十字社は1877年(明治10年)の設立と歴史があり、ご寄付をくださる皆様の印象として「赤十字は郵便局の窓口で寄付ができる」とご認識いただいているようです。

ご寄付いただいた際は、寄付情報を管理システムに入力し、領収証を発行し、御礼とともにお届けさせていただいています。また、寄付者様の方へ日本赤十字社の活動内容を発信するための広報活動にも力を入れています。

寄付金募集に関わる仕事をする中で、業務の効率化も積極的に取り組んでおり、fi-7600の導入も効率化の1つです。

ダイレクトメールは年に何回送るのでしょうか?また、払込取扱票はどのような流れで東京都支部に届くのでしょうか?

髙橋さん個人の方には、年に4~5回、合計で17万通のダイレクトメールをお送りさせていただいています。ダイレクトメールには寄付者様の「お名前」や「ご住所」、寄付者様固有の「依頼コード」が印字された払込取扱票を封入しています。
それを受け取った寄付者様が、金額だけを手書きで記載し、郵便局で振込手続きをされると、払込取扱票の写しが郵便局から振興課に届きます。大変ありがたいことにダイレクトメールを発送後、2~3週間は多くの払込取扱票が届きます。

届いた払込取扱票の管理システムへの登録作業はどのように行っているのでしょうか?また、その際にどのような課題があったのでしょうか?

髙橋さん払込取扱票に印字されている「依頼コード」と「振込金額」を管理システムに入力して登録作業を行います。導入前は手入力で行っていたため、とても時間がかかっていたことが課題でした。

担当業務について話す笠井さん

情報管理システムへのデータ入力と領収証の発行を担当する笠井さん。

払込取扱票の控えの束

郵便局から届く払込取扱票の控えの束。多い時で1日550件程届きます。

手作業では大変ですね。

笠井さん ご支援が多い日は1日中、その業務に掛かり切りになります。また、寄付者様からのお問い合せや来訪者の対応などがあると、作業が中断することもあります。その際、入力作業に戻る時に、入力漏れや二重入力がないよう細心の注意を払う必要があるため、更に時間を必要とします。

髙橋さん繁忙期は手分けして対応していましたが、入力作業に不慣れな課員が担当すると、どうしても時間がかかっていました。

そうした背景から、スキャナーを使ってOCR する方法を考えたのですね。

髙橋さん そうです。人員を増やすというのも簡単にはできないので、入力作業を自動化するようなITの力を借りて、業務効率を上げることが最良の選択と考え、スキャナーの導入を検討しました。

振興課に配備されたfi-7600
fi-7600でスキャンする笠井さん

振興課に配備された「fi-7600」は、A3機でありながら、デスクサイドにも置けるコンパクトサイズです。

2.「fi-7600」でスキャン・OCRし入力作業を効率化

スキャナーを導入後、どのような運用を行っているのか、一連の流れを具体的にお聞かせください。

笠井さん 郵便局から届いた払込取扱票をfi-7600でまとめてスキャンします。
払込取扱票に印字されている「依頼コード」と「振込金額」の2箇所をOCRして、CSVファイルに出力します。その際、標準添付ソフトウェアPaperStream CaptureのゾーンOCR機能(特定の部分だけ認識する機能)を使用しています。そのCSVファイルをExcelデータに読み込み、管理システムへ連携することで寄付者様の寄付情報を登録することができます。

払込取扱票
振込金額をOCRしているところ

標準添付ソフトウェアPaperStream CaptureのゾーンOCR機能を使って、「依頼コード」と「振込金額」をOCRし、一気に読み取ります。

OCR箇所の認識結果の確認はどのタイミングで行っているのでしょうか?

笠井さん CSV出力後に文字化けがないかなどの簡単なチェックのみを行い、最終的に払込取扱票と領収証を突き合わせて「依頼コード」と「振込金額」が間違っていないかを確認します。

CSVファイルに出力後、確認を行うのですね。OCRの認識精度はいかがでしょうか?

笠井さん たまに印字部分が汚れていて本当は「0」なのに「9」などと認識してしまうこともありますが、それは数件ですので修正の手間もさほどかかりません。ゾーンOCRの精度は高いと言って良いと思います。

文字化けを確認する様子

CSV出力後に文字化けがないか確認します。

出力されたCSVファイル

CSVファイルは管理システムへ連携して寄付履歴に登録できます。

今まで1件ずつ手入力していた膨大な寄付情報が一気にテキスト化されるので、今は目視で確認するだけでよくなったわけですね。

笠井さん はい、慣れていない人でも文字化けを探すだけなので簡単です。システムへ寄付情報の登録が完了すると、その情報をもとにシステムで領収証を発行し、御礼とともにお届けしています。

fiシリーズを知ったきっかけや採用いただいた理由をお聞かせください。

竹松さん 手間のかかるデータ入力業務にOCRを活用して効率化ができないかと考えていました。ただし、私たちが長く使っている管理システムとうまく連動させる、ということが最も重要なポイントだったので、管理システムを担当していただいているシステム会社の方に相談したところ、fiシリーズを紹介してもらいました。

髙橋さん fiシリーズは、管理システムとも親和性がとても良いと聞いていました。システム会社のお墨付きがあるということも採用した理由のひとつです。

どのような経緯で導入に至ったのでしょうか?

髙橋さん 払込取扱票から「依頼コード」と「振込金額」の2箇所をOCRし、システムに連携するという一連の流れが想定通りにできるか確認するためにデモ機貸し出しサービスを利用しました。
デモ機での検証は当時の担当者が実施したのですが、その際、マニュアルも整備してくれていたので、導入後はすぐに使い始めることができました。
ゾーンOCRは最初の設定ではうまく読み込めなかったのですが、読み取る範囲を微調節することで、すぐに期待通りに認識するようになりました。
検証の結果、OCRの認識精度は非常に高く、紙詰まりが発生しないということが決め手となり導入を決めました。

3. 人間が作業するより圧倒的に速くて正確

fi-7600の導入により、どのくらい作業時間が短縮したのでしょうか。また、年間にするとどのくらいの時間が削減されると見込まれるでしょうか?

笠井さん 実際に使ってみると、人間が作業をするより圧倒的に速いし、正確です。作業する件数は変わらないのに、繁忙期には1日3時間ほど入力時間が短縮されました。また、あくまで目安ですが、ダイレクトメールを発送後、2~3週間は多くの払込取扱票が届くので、それを10日とし、年に4回~5回とした場合、年間135時間ほど削減される見込みです。

1日3時間の短縮は大きな効果ですね。

笠井さん はい。私は時短勤務をしているので、限られた時間の中で業務をこなさなければなりません。なので3時間の削減は私にとっては大きいです。導入前は入力が終わらずに翌日以降に作業を行うこともありましたが、今ではほとんどがその日のうちに終わらせることができるようになりました。入力作業を課員で分担することも減りました。

作業時間の短縮以外にも何か効果はありましたか?

笠井さん 他には、正確性が向上しました。手入力をしていた時は、出力後のダブルチェックで入力ミスに気づき、その都度修正処理を行っていましたが、スキャナーの導入により人為的ミスが減りました。

髙橋さん ご寄付をいただいた方には受領した証として、日付と金額とお名前の入った領収証をお送りしています。ご寄付をいただいたのですから、1日でも早く御礼と領収証を届けることが誠意にもなります。
手入力時代もスピーディーさは意識していましたが、fi-7600を導入したことで、寄付者様に領収証をより早くお届けすることができるようになったと思います。

振込してすぐに領収証が届けば、寄付者様は安心できますね。

竹松さん はい、件数が多くなると、領収証の発送に時間を要することもありましたが、寄付者様は領収証が届かないと、本当に寄付が届いているのかと不安に思われます。
また、領収証は確定申告で使われるものなので重要です。より早くお届けできれば、問い合せも少なくなり、対応工数も削減することができます。

fi-7600でスキャンする様子

「fi-7600」は1分間に100枚の高速読み取りが可能。

領収書とともに送る広報物

領収証とともに、寄付金の使途を伝える広報物も寄付者様の方へ送っています。

4. 一人でも多くの苦しんでいる人を救うため、継続的に寄付を募る

今後も払込取扱票を使っての募集は続けていくのでしょうか?

髙橋さん 東京都支部にご協力いただいている方々は、払込取扱票でご寄付いただく方の割合がとても多いのが特徴です。今後も払込取扱票でのご寄付の募集は続けていく考えです。また、法人様を担当する係でも同じ払込取扱票でのご寄付を受け付けしておりますので、fi-7600の使用を検討しています。

日本赤十字社 東京都支部様では世界や日本の現状を鑑みて、今後もより多くの寄付が必要になるとお考えでしょうか?

竹松さん 近年は地震、台風といった自然災害にくわえて、新型コロナウイルス感染症、ウクライナ情勢などの影響で活動が多岐にわたっています。またメディアを通じて東京都支部の活動が皆様に届き、認知度が高まっていることもあり、ご寄付くださる方が増えています。新型コロナウイルス感染症対策では、地域の避難所の運営ルールも変更され、必要な備品も変わってきています。例えば、体育館などの大きな避難所ではプライバシーを守るため、小さなテントやパーティションも用意しなければなりません。それらの準備のためにも皆様からのご寄付を活用させていただいています。
今後も様々な活動を続ける東京都支部にご支援とご協力をお願いしたいと思っております。

本日はお忙しい中、詳しくお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

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