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津幡町役場様

特別定額給付金の処理を「fi-7180」と「DynaEye 10」で実現
未曽有の混乱を乗り切りデジタル化の足掛かりに

津幡町役場では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、特別定額給付金の処理のために業務用スキャナー「fi-7180」と業務用OCRソフトウェア「DynaEye 10」を導入し、限られた人数で最大1日2600件の申請の手続を完了することができた。fi-7180の給紙技術・原稿保護機能やDynaEye 10の読み取り精度が高く評価され、今後は給与支払報告書(源泉徴収票)の読み取り業務に展開される予定となっている。



緊急経済対策に対応するために短期間でのシステム導入に迫られる

津幡町は石川県中央部に位置する人口約4万人の町だ。富山県に通ずる北陸道にある倶利伽羅峠は、源氏と平家の明暗を分けた倶利伽羅源平合戦の舞台。木曽義仲軍が数百頭の牛の角に松明をくくりつけ、敵中に向け放ったという逸話「火牛の計」はあまりにも有名だ。
こうした平家伝説が数多く残る津幡町の役場でICT活用を推進しているのが、津幡町総務部企画財政課課長補佐兼情報推進係長 金尾 誠 氏と、津幡町総務部企画財政課 上谷 武 氏だ。
企画財政課は、各部署を横断する業務を担う部署であり、両氏は各部署の業務効率化や住民サービスの向上のためにICTをどのように活用するかを研究し、実施している。
両氏が大きなテーマとして取り組んでいるのが、各部門の行政業務と住民サービスにおける「デジタル化」だ。その一環として、昨年より給与支払報告書(源泉徴収票)の入力を自動化するためにOCRの導入を検討していた。「富士通やPFUに相談して、まずはテストという形でDynaEye 10を使い始めました」と金尾氏が語るように、最初は検証用として業務用スキャナー「fi-7180」と業務用OCRソフトウェア「DynaEye 10」の貸出を受けていた。
そこへ新型コロナウイルス感染症の拡大という予期しない事態が発生する。未曽有の混乱の中、政府が緊急経済対策として打ち出したのが「特別定額給付金」だ。国民1人あたり10万円を世帯単位で給付するものだが、膨大な申請を短期間で処理しなければならない。「全国の自治体が一斉に動き始めていたので、どこかの自治体で手続きが始まるという報道があると、住民の皆様から『津幡町はまだ手続きできないのか』という問い合わせが殺到しました。大変な状況でしたね」と金尾氏は当時を振り返る。


1日に2600件の申請が殺到、即日処理を目指しOCRを導入


金尾 誠 氏
津幡町役場
総務部 企画財政課
課長補佐 兼 情報推進係長

上谷 武 氏
津幡町役場
総務部 企画財政課

通常の申請手続はそれぞれに担当部署が決まっているが、今回の特別定額給付金は降って湧いた業務。「どこにも振り分けられない業務であったため、当然のように企画財政課で担当することになりました。」と金尾氏は苦笑いする。企画財政課は総勢12人。10人の職員が封筒を開封、申請の内容や添付書類のチェックを行い、両氏が2人でスキャナーの読み取りとOCRで認識した文字のチェックを行った。まさに課をあげての総力戦となった。
津幡町の世帯数は約1万4000世帯。通常であれば受け取った申請書類を順に職員がチェックしながらシステムにパンチ入力するのだが、全世帯の申請を処理するには時間がかかりすぎ、生活に困っている住民への支払いが遅れてしまう。このような緊急事態にあって対応できるベンダーはなく、時間は過ぎてゆくばかりであった。「政府の方針を受けて毎日のように仕様の変更があり、申請書についても津幡町役場で独自に項目を設定した箇所もありました。どの項目を読み取ればよいのかといった定義情報を含め、臨機応変に対応し、今あるものを使って自分たちでやるしかないと考えるようになりました」と金尾氏は語る。


金尾 誠 氏
津幡町役場
総務部 企画財政課
課長補佐 兼 情報推進係長

上谷 武 氏
津幡町役場
総務部 企画財政課

そこで、検証用として使用していたfi-7180 とDynaEye 10に目を向け、本格的に導入することになった。しかし使い始めたばかりで、申請書の読み取りの定義を設定する方法に習熟しているわけではない。「設定についてサポートをお願いしたくても、緊急事態宣言下では訪問していただくわけにもいきません。そんな時、PFUがオンラインでレクチャーしてくれたり、わかりやすい手順書を送付してくれたりと、いろいろサポートしてもらえたことで、なんとか自分たちで設定することができました」と上谷氏が語る通り、申請書のフォーマットについて、2~3日で定義をすることができた。
その日のうちに処理しなければならない申請書は、ピークで1日約2600件、1週間で約1万件にも及んだ。ピーク時は早朝から深夜まで休日返上でスキャナーをフル稼働させ、OCRで読み取りエラーとなった項目をチェックするといった作業が続いた。
こうした両氏の尽力により、現在は99.7%の申請処理が完了している。「大変な作業でしたが、DynaEye 10を導入したことでスムーズに業務を遂行できました。でなければ今ごろこの取材を受けている余裕はなかったでしょう」と金尾氏は笑う。


短期間での処理に成功、問い合わせもスムーズに対応

今回の導入ではDynaEye 10の文字認識の精度が高いため、手作業での入力と比較して入力ミスが激減し、チェック回数も減ったという。「文字認識の精度は感覚として97%~99%。非常に精度が高いです。また、小さなフォントでも正確に読み取ってくれ、読み取りがスムーズでした」と金尾氏は語る。
fi-7180の給紙技術や原稿保護機能についても金尾氏は高く評価する。「今回、全国の自治体が一斉に動いたため、申請書のサイズにあった返信用封筒が入手できませんでした。そのため申請書が三つ折りでは入らず、細かく折りたたまれて返送されてきたのですが、スキャン時にエラーになることはありませんでした。また、申請書の裏面に添付書類が糊付けされて提出されることも多かったのですが、紙詰まりで破損する前に、自動的に処理をストップしてくれました。他製品にはない、なかなか優れた機能だと思います」。
また今回ひときわ役立ったのが、OCRで読み取った文字をそのままファイル名にして保存する機能だ。というのも、今回は支払処理後に住民からの問い合わせが相次ぎ、原本の確認に追われたからだ。特別定額給付金は世帯に対して1件の申請をする形態のため、「自分の知らないところで家族が申請した」「振込先をどこに指定したかわからない」といった問い合わせが数多く寄せられた。そのたびに申請内容を確認し、問い合わせした方に原本を見せなければならないのだが、1万4000通の申請書の中から探し出すだけでも膨大な時間がかかる。「今回は読み取った世帯番号をイメージファイルの名前として付与したため、該当する申請書のイメージがすぐに検索でき、窓口での対応を効率化できました」と、上谷氏はDynaEye 10の柔軟な設定について高く評価した。


完全デジタル化に向けて紙と電子の新たな融合へ

特別定額給付金対応が落ち着いたため、今後は当初計画していた給与支払報告書(源泉徴収書)の業務へ展開する予定だ。
行政業務のデジタル化については着々と進展している。しかし今回の導入で両氏が痛感したのが、住民サービスにおける紙の申請はまだまだ需要があるということだ。「若い方にはスマートフォンで電子申請できる利便性も提供しなくてはなりません。一方で高齢者の方が申請することが多い福祉関係では、どうしても紙ベースでの申請が求められます。完全デジタル化を実現する一歩手前の段階として紙と電子の新たな融合を身をもって体験しました。行政にとって、紙の書類を読み取りデータ化する、OCRの役割が重要になってきました」と金尾氏は語る。
2021年1月には新庁舎が完成し、両氏が進めてきたデジタル化が新たな段階を迎える。「一部の基幹系システムの接続を除き、役場内のネットワークをWi-Fi化しますが、それにあわせて来年度からは町議会で扱う資料についてもペーパーレス化を実施します。役場内はまだまだ紙文化が残っていますので、これを機にデジタル化が大きく前進すると期待しています。また、窓口での申請業務についてもオンライン電子申請サービスを開始します。町民のよりよい暮らしのためにサービスを向上させていきたいです」と金尾氏が語る通り、両氏はその先のデジタル化を見据えている。

DynaEye 10で入力業務のデジタル化へ

業務用OCRソフトウェアDynaEye 10は、定型帳票OCRに加え、読み取った項目から帳票の種類を判定することにより請求書や注文書などの汎用帳票にも対応しています。さらにオプションのAI OCR機能により手書き文字認識の精度を大幅に向上させました。優れた機能が評価され、これまで約7700社以上のお客様にご利用いただいています。PFUでは豊富なサポート実績をもとにOCRシステムの導入をワンストップで提供します。


高速かつ安定したスキャンでデジタル化を支援するfiシリーズ

業務用スキャナーfiシリーズは、世界シェアNo.1の業務用イメージスキャナーです。高速かつ安定した給紙搬送技術でスピーディーに読み取り、高度な光学技術と画像処理機能によりOCRに最適な高画質のイメージデータを生成します。また、原稿保護機能が大切な原稿の破損を防ぎ、安心で快適な読み取りをサポートします。世界で支持される高い品質と技術をfiシリーズで体感してください。

(注) ドキュメントスキャナーを対象とする。日本・北米はKEYPOINT INTELLIGENCE社 (InfoTrends)により集計(2019年実績)、ドキュメントスキャナー集計よりMobile/Microを除く6セグメントの合計マーケットシェア(主に8ppm以上のドキュメントスキャナー全体)。欧州はinfoSource 社(2019年実績)の集計に基づく、西欧地区(トルコとギリシャを含む)におけるシェア。


お客様概要

名称 津幡町役場
所在地 石川県河北郡津幡町字加賀爪ニ3
URL http://www.town.tsubata.ishikawa.jp/
役場概要 津幡町は人口約4万人、豊かな歴史を感じさせる史跡が多く残る。津幡町役場では、2021年1月に新庁舎での業務を開始する。庁舎内をWi-Fi化し、来年度は議会の資料も電子化するなど、デジタル化に意欲的に取り組んでいる。