1. ホーム > 
  2. トレンド&トピックス > 
  3. 過酷な環境にも耐え得る製品開発 ~ 現場を知り、設計に活かす ~

過酷な環境にも耐え得る製品開発 ~ 現場を知り、設計に活かす ~

PFUがスキャナーのグローバル展開を進めていく中で大切にしていることは、スキャナーの価値を最大限に高めた製品を作り出すことです。お客様により身近な製品として使ってもらうために、エンジニアが実際に現場へと赴き、自身の目で見て、肌で感じ、現場を知り、それを設計・開発に反映させることで、より価値の高い製品を提供しています。
今回は、スキャナーの製品開発における取り組みをご紹介します。



北極も、赤道直下も再現できる「環境試験室」

PFUのスキャナーは、世界中のさまざまな場所で使われています。マイナス20度を超える深い雪に覆われた厳しい寒さの地域、高温多湿の地域や海のそばで暮らす人もいれば、標高3,000メートル以上の高地で生活を送る人もおり、気候風土によってスキャナーの使用環境は様々です。

給紙用の紙も、新品と使用中のものでは状態が全く違います。紙に残ったシワや折り目のついた箇所が原因で、紙づまりなどのトラブルが起こりやすくなります。また、湿度が高ければ紙同士がくっつきやすく、複数の紙を重ねて搬送する原因となるなど、気候条件やその日の天候によっても紙の状態は変わってしまいます。

こういった様々な環境に対応するため、社内には、北極から赤道直下までの温湿度と同等の環境を再現できる「環境試験室」があり、エンジニアが試験室に入って、お客様の観点から、実際に給紙試験を行います。環境や紙の状態に変化が生じても、安心してご利用いただくための評価試験を徹底しています。



長さも厚みも想定外の紙を繰り返し評価・改良

10年以上前、中国の銀行向けに手がけた業務用スキャナーの開発についてです。お客様から求められたオーダーは、大量かつ高速で原稿を自動的に給紙する自動給紙機構を備えたPFU初となる高速機でした。

開発にあたってまず、現場となる中国の銀行へと足を運びました。そして、行員の皆さんが働く姿を観察していたとき、想定を超える多種多様な紙が使われている事実に驚きました。

中国の銀行で読み取っていたものには、名刺サイズの小さな紙や、A3の書類や通帳もありました。現地では1つの案件にかかわる小切手などをテープでつなげる習慣もあり、1メートル以上の長尺原稿のスキャニングも必要でした。

現場を知ることで浮き彫りになった課題を解決するため、中国で使われる100種類以上の紙を収集。さまざまなパターンで評価を繰り返し、改良を重ね、最も弱い紙でも決して破れることのない最適な給紙構造の開発に成功しました。



砂とほこりが舞う環境でも安定して使える“強さ”

世界には道路事情がよくない国もあります。道路は土や砂利で覆われ、人や車が通れば砂や土ぼこりが舞い上がるような環境です。もしスキャナー内部にほこりや砂が入ると致命的な故障を起こしかねません。そこで、塵埃(じんあい)試験機を導入し、製品の気密性をチェックしています。

この試験を行うようになったのは、スキャナーの東南アジアへの展開を本格化させる頃からです。中国やタイ、インドなどで使われる機会が拡大したのに対し、急速に表面化していった問題が“ほこりと砂による動作不良”でした。以後、評価項目に「塵埃試験」を追加し、JIS規格より厳しい設定で製品の密閉性を確認することで、安定した動きを確保しています。



私たちは、幾度となくスキャナー製品の改良を重ね、過酷な環境にも耐え得る高品質で、より価値の高い製品を世界中に提供すべく、今後も挑戦をし続けていきます。

関連リンク